出光興産は29日、燃料を販売せずにモビリティサービスに特化した専門店「アポロワン」を展開すると発表した。既存の系列ガソリンスタンド(給油所)の中から、収益が見込める拠点を洗車・カーコーティング、レンタカー、中古車販売、板金・整備などの専門店に衣替えしていく。2030年までに約250店体制とする計画だ。
1号店として、東京都江東区に洗車とコーティング専門の「アポロワン・江東東陽町キーパープロショップ」を7日にオープンする。休止していた給油所を改装。洗車事業のキーパー技研が運営に協力する。
ハイブリッド車(HV)などの低燃費車の増加や電気自動車(EV)の普及が見込まれることから、燃料需要は低迷しており、給油所の休止・閉鎖が相次いでいる。出光興産は全国の6100店舗のネットワークを、地域の生活支援基地として活用する「スマートよろずや構想」を掲げ、給油所の多機能化を推進してきた。
今回、給油所網を維持するため、燃料を販売しない専門店を全国で展開する。カーシェアリングサービスや車検整備、中古車の買い取りなどの専門店も設置する計画。今後、採算確保が見込める給油所を中心に、出光興産が衣替えを提案し、専門スタッフの配置にも協力する。先行して3店舗で実証したところ、燃料販売を手掛けたときよりも収益を確保できたとしている。