電動モビリティ向けの電池システムを手がける仏フォーシーパワーは28日、日本で事業を本格的に始めると発表した。同社の製品はカワサキモータースの電動二輪車などで採用実績がある。2月には日本法人とアフターサービスを担う「テクニカルサービスラボ」を神奈川県内にそれぞれ新設した。二輪車メーカーや商用車メーカーへの研究開発(R&D)支援事業も展開する考えだ。

 同社は、電池メーカーから調達したセル(単電池)を電動モビリティ向けに組み合わせ、制御システムと合わせて供給している。これまでに電動バス2500台、電動スクーター10万台に製品を供給してきたという。フランスのほか、中国、インド、米国などに生産拠点を持つ。今年度の売上高は250億円規模を見込む。

 クボタとマイクロハイブリッドエンジン向けの電池システムを共同開発したほか、カワサキが今月発表した電動バイク「ニンジャe―1」「Ze―1」に同社製の交換式バッテリーが採用されるなど、日本企業との取引が増えている。現地法人を設けて日本市場の開拓を本格化する。

 日本法人は、供給した製品のアフターサービスを主に手がけるほか、完成車メーカーなど供給先の開発も支援する。出資を受ける三井物産と共同で営業体制も拡充する考えだ。事業計画などは非公表だが、日本法人の東謙二郎日本マネージングダイレクターは「短期的には二輪車や建機・農機、中期的にはトラックやバスなどの大型モビリティ領域に注力していく」と語った。