デンソーは21日、疑似量子技術「デンソーマークディー」を開発したと発表した。独自の情報圧縮技術によって従来の疑似量子技術で限界とされる実問題の処理能力の5倍程度を確認した。同社によると、疑似量子技術では世界トップレベルの処理能力という。効率化が求められる物流問題をはじめ、規模が大きく、組み合わせ数が膨大になる計算に生かす。

 量子コンピューターは、次世代の計算技術として期待されるが実用化には課題も多く、理論上の性能が出せていない。疑似量子技術は、この量子コンピューターと従来のコンピューターと組み合わせることで、膨大で複雑な問題を解く技術だ。研究機関や企業で開発が進んでいる。

 デンソーマークディーは、情報を圧縮することで計算プロセスに必要な参照情報を減らし、高速演算を可能にした。同社最大の物流中継地におけるトラックの配送スケジュール計算に応用したところ、1日当たりのトラック台数を25%減らす配送スケジュールを6分間で立案した。計算速度は従来コンピューターの500倍となる。

 疑似量子技術は、組み合わせ数が膨大となる計算に威力を発揮する。デンソーは今後、研究機関や企業との連携を視野に開発を進める。