東海理化は、北米事業の強化に向けて生産拠点を再編すると発表した。スイッチ類を生産する工場を2024年9月に閉鎖し、3工場を2工場に減らす。機械式スイッチの需要縮小を見据え、固定費を削減して収益を保つのが狙いだ。一方、電動化に伴い需要の増加が見込まれる「シフトバイワイヤ」は米自動車メーカーの新規受注が決まり、メキシコ工場の生産能力を増強する。
閉鎖を決めたTRIN社(インディアナ州)は1997年に操業を開始し、主に機械式スイッチの組付け工程を担っている。従業員は約150人。24年3月に操業を停止し、ミシガン州にあるTACマニュファクチャリングとTRMI社にスイッチ類の生産を移管後、9月に閉鎖する。
佐藤雅彦副社長は北米の再編について「中長期的なスイッチの需要減少を想定した」と説明する。米国では人材難や人件費の高騰も続いており、拠点を集約することで生産効率を高めて固定費の削減を進める狙いもある。一方、佐藤副社長は「スイッチはメカ式からセンサー化されていく」と述べ、TRMIで手がける電気機器系部品を強化していく方針も示した。
同社として、新たな収益の柱のひとつに据えているシフトバイワイヤ事業を伸ばすため、海外で最大の生産拠点となるメキシコ工場の生産能力を増強する。すでに電気自動車(EV)向けなどでフォード・モーターから新規受注を得た。工場面積を23年末までに1万4千平方㍍拡張し、24年以降にシフトバイワイヤを増産する。
東海理化は、中期経営計画で掲げた「30年度売上高6千億円超え」に向けて、事業ポートフォリオの入れ替えを急いでいる。機械式スイッチなど既存事業の売上高は同年度までに4500億円程度まで縮小すると想定し、シフトバイワイヤなど次世代商品を拡販していく方針だ。
佐藤副社長は「EV関連のビジネスをどう取りに行くかが米国における重要なポイントになる」と語った。