寧徳時代新能源科技(CATL)は、新たな車載電池「神行超充電池」を開発したと発表した。充電器の出力は公表していないが、10分間で400キロメートル分の充電が可能だという。2024年1~3月期中にこの電池を積んだ電気自動車(EV)を発売する。

 正極にリン酸鉄系を使用したリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池で、電解質の改良などにより、高速充電と安全性を両立した。マイナス10度の低温環境下でも約30分で80%まで充電できる。23年末までに量産を始める。

 今はニッケルやコバルト、マンガンの三元系を正極材に使用するリチウムイオン電池が主流だ。ただ、ニッケルやコバルト、マンガンはいずれもレアメタル(希少金属)であり、電池生産の拡大に伴いコストや安定調達が課題に浮上している。リン酸鉄系は三元系に比べ安く、発火の危険性が低いといった利点がある一方、エネルギー密度の低さが課題だった。

 ただ、今はエネルギー密度の改善が進み、CATLやBYDなどが車載用のリン酸鉄系リチウムイオン電池を実用化しつつある。日本でもトヨタ自動車などが開発中だ。