ソーラーフロンティアの旧国富工場

 ロームは、電動車シフトなどによるパワー半導体の需要増に対応するため、宮崎県国富町に生産拠点を新設するとこのほど発表した。早ければ2024年末の稼働を目指す。出光興産のグループ会社で、太陽光発電システムの開発・販売を行うソーラーフロンティア(渡辺宏社長、東京都千代田区)の旧国富工場(宮崎県国富町)の取得について同社と合意した。新工場の稼働により、30年度のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産能力は21年度比で35倍となる見通し。

 旧国富工場は、敷地面積約40万平方メートル、建物面積約23万平方メートルで、同社は約11.5万平方メートルの生産棟でSiC半導体を生産する。クリーンルームなど既存の設備を活用することで、早期の生産立ち上げが可能と判断した。敷地の一部はソーラーフロンティアに貸与し、同社は事業所として継続利用する。

 ロームは、SiCパワー半導体事業で21~27年までに5100億円を投じる計画。すでにラピスセミコンダクタ宮崎工場(宮崎県宮崎市)、ローム・アポロ筑後工場(福岡県筑後市)でSiCパワー半導体を生産しており、22年末には筑後工場(福岡県筑後市)に建設した新棟で量産を開始するなど、生産能力を増やしてきた。

 宮崎県の河野俊嗣知事は、「九州で半導体関連企業の進出が相次ぐ中、今回、ロームが新たにSiCパワー半導体の生産拠点として大規模な事業を展開することは、本県経済の発展に大きく貢献するものと期待している」とコメントした。