トヨタ自動車グループの車体メーカーであるトヨタ車体は19日、東京都江東区に商用車架装専門店「カーゴベース」を24日に開設すると発表した。同社が生産する「ハイエース」を架装したコンプリートカーをはじめ関連用品などを展示し、専門スタッフが対応する。拡張現実(AR)技術を活用して架装仕様が検討できるよう独自の商談ツールなども導入する。車体メーカーならではの架装提案を行うほか、顧客との接点で得た商用車ニーズをクルマづくりに生かす狙いもある。

 カーゴベースは、トヨタモビリティ東京(TM東京、佐藤康彦社長、東京都港区)の深川店内に「ショップ・イン・ショップ」の形で出店する。店舗運営はトヨタ車体が行い、専門スタッフを7人(うちTM東京1人)配置する。松尾勝博社長は「商用車の使われ方は多岐にわたる。商用車の困りごとに対する『駆け込み寺』としてお客さまに価値を提供する」と述べた。

 ベース車の車両構造に基づいた車体メーカーならではの架装提案を行う。例えば、荷室内に設置した棚は法規対応していないケースが多く「車検のたびに棚の解体と組み立てで1日を要していた」(木村勅店長)が、こうした架装部分も法規に対応した安全な提案が可能になるという。架装は工場出荷後に行うのが一般的だが、架装に必要な車体の補強や特殊なボディカラーの対応も一部生産ラインで対応できるようにする。

 新たに開発したAR商談ツールでは、実車の荷室に棚のほか、医療や厨房の機器など設置したイメージをタブレット端末に表示できる。今後は表示できるアイテムを増やしていくほか、ショールーム以外の場所でも提案ができるようにする。

 車両開発の知見を生かした商品も展開する。メーカー純正オプションの中で、顧客のニーズを反映して一部変更を加えた独自オプションを55品目用意した。ショールームにはサードパーティーの用品も複数展示する。

 トヨタ車体が一般消費者を対象とした専門店を出店するのは、愛知県刈谷市の「ランクルベース」に続き2例目。ランクルベース同様に店舗で集めた顧客の声を今後の新車開発に生かす考え。トヨタ車体は2018年にトヨタからバン事業を移管され、より主体的に業務を進める体制に移行した。専門店を設置することで商用車の「もっといいクルマづくり」を加速させる。