「輸送用機械器具製造業」も引き続き、重点立入業種の対象となった

 公正取引委員会は、2023年度の下請法(下請代金支払遅延等防止法)上の「重点立入業種」として、輸送用機械器具製造業、道路貨物運送業など5業種を選定したとこのほど発表した。22年度に同法に基づく「買いたたき」が多かった業種で、23年度も引き続き、重点的に立入調査を実施する。親事業者と下請事業者との間で協議を経ない「取引価格の据え置き」などが認められた場合、同法上の勧告(公表)または指導を迅速に行うなどし、業界全体に是正を働きかける。

 23年度の「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定し、適正な価格転嫁の実現に向けた取り組み方針を公表した。今回、重点立入業種に選んだのは、輸送用機械器具製造業、道路貨物運送業のほか、情報サービス業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業の5業種だ。輸送用機械器具製造業は、自動車製造業(自動車メーカー)や自動車車体・附随車製造業(車体・架装メーカー)、自動車部分品・附属品製造業(自動車部品メーカー)なども含まれる。

 前年度は、今回の5業種のうち、情報サービス業を除く業種を選定し、今年2月末までに168件の立入調査を実施した。

 公取委では、関係省庁と連携を図りながら、アクションプランに基づいて独占禁止法と下請法の執行強化に取り組む。22年度における下請法と「優越的地位の濫用」に関する相談件数は1万6101件と前年度から約4千件も増えた。相談件数の内訳は、下請法に関する事案が1万4003件(前年度は1万908件)、優越的地位の濫用に関する事案が2098件(同1188件)だった。