経済産業省は4月28日、経済安全保障推進法で「特定重要物資」に指定した蓄電池の供給体制を強化するため、最大1846億円を補助すると発表した。ホンダとGSユアサも同日、助成金の一部を活用し、総額4341億円を投じて最大20ギガワット時の電池工場を2027年に新設すると発表した。官民で車載電池の産業競争力を高める。

 経産省は、車載用リチウムイオン電池や正極材など電池用部素材の設備投資や生産技術の開発など、合わせて8事業に助成金を支給する。事業総額は約5062億円。設備投資は総額の3分の1、技術開発は半分を補助する。

 国が1千億円超の助成額を投じるのがホンダとGSユアサが新設する電池工場だ。両社は23年1月、高性能電池や生産技術を開発する合弁会社を年内に設立すると発表。27年4月に新たな電池工場を稼働させる。生産能力は段階的に増やし、30年4月までに年間20ギガワット時に引き上げる。ホンダは、日本向け電気自動車(EV)用電池をエンビジョンAESCから調達する方針を公表済みだが、ハイブリッド車用電池で組むGSユアサとEV用でも協業し、電池の安定調達につなげる。

 経産省によると、現在の国内の電池生産能力は20ギガワット時だ。自動車や電池メーカーが国内投資を増やしつつあるものの、量産で先行する中韓勢に加え、米国も電池産業の囲い込みを進める。日本も官民で電池産業の競争力向上を図る。

 経産省はまた、蓄電池と同様に特定重要物資に指定する半導体についても、ルネサスエレクトロニクスとイビデンに計564億円を助成すると発表した。