三菱ケミカルグループは20日、東京海上日動火災保険、全損車の処分手続きを手がけるABT(藤本忠社長、東京都千代田区)などと、事故車からアクリル樹脂を回収する実証実験を3月から始めると発表した。アクリル樹脂は自動車のテールランプなどに使われており、回収の手間やコスト、再生材の品質などを検証し、リサイクルシステムの社会実装を目指す。

 関東地区の約1千台から取り組みを始め、回収手順などの完成度を高めて2024年度には全国規模へと拡大させていく予定だ。三菱ケミカルは、回収した樹脂を新品同等のメタクリル酸メチル(MMA)に戻し、再生アクリル樹脂を製造する。

 三菱ケミカルグループは、廃アクリル樹脂から再びアクリル樹脂を生み出す「ケミカルリサイクル」の事業化を目指しており、子会社がマイクロ波化学(吉野巌社長、大阪府吹田市)と組んで同社大阪事業所内にリサイクル実証設備を建設、24年度の稼働開始を予定している。