“絶滅”の危機にある原付1種バイク。スズキ「レッツ」
ホンダ「スーパーカブ」
ヤマハ発動機「ビーノ」

 二輪車業界が車両区分の見直しを政府・与党に求めている。「排気量・定格出力」による区分を「最高出力」に代え、海外で大量生産する排気量125cc級二輪車を「原付1種」として国内で販売できる制度への見直しを要望する。たび重なる排ガス規制の強化で、現在の原付1種が〝絶滅〟の危機にあることが背景にある。

 原付1種(排気量50cc以下)車両は、身近な足代わりとして1980年に年間200万台近く売れたが、所得の向上などに伴って需要が軽自動車にシフト。時速30㌔㍍の速度規制や2人乗りができないことも嫌われ、販売台数は約13万台(2021年)にまで激減した。ただ、日本自動車工業会(自工会)によると、保有台数ベースでは二輪車全体の半分近く(47%)に相当する485万台が国内で登録され、代替需要が見込めることから国内二輪車各社もラインアップを維持してきた。

 しかし、25年11月に予定される新たな排ガス規制(4次規制)が悩みの種だ。4次規制は、欧州「ユーロ5」に相当する規制で、最高時速が100㌔㍍以下の二輪車は炭化水素(HC)の規制値が300㍉㌘から100㍉㌘に厳格化される。原付1種の場合、触媒の昇温に時間がかかり、浄化効果が出るまでに規制値を超えてしまう。4次規制は最高設計時速50㌔㍍以上の車両が対象で、設計時速を50㌔㍍未満に抑えれば規制対応の義務は免れるものの、今度は加速性や登坂能力が低下してしまう。電動化も現状ではコストが高い。

 新規制に対応した原付1種を何とか用意しようと、自工会が考え出した妙手が区分の見直しだ。原付1種の最高出力を4㌔㍗(約5.4馬力)と規定すれば、触媒の昇温時間が50ccの3分の1で済む125ccエンジンが使え、規制を満たすめどがつく。車格もほぼ同等でユーザーも違和感なく乗れる。メーカー側も海外生産車種を輸入でき、二輪車事業の採算が改善するという。業界としては、原付1種を皮切りに二輪車の区分全てを見直していく要望も持つ。

 一方、区分の見直しは税収にも影響が出るため、今後は関係省庁との協議が必要になるほか、125ccクラスのモデルの最大出力を制御することで安全性に与える影響も検証する必要がある。スズキの伊藤正義常務役員二輪事業本部長は「(出力)制御の書き換えを防止するためのコストも必要になる」とも指摘する。

 ただ、自工会の日髙祥博副会長兼二輪車委員会長(ヤマハ発動機社長)は「原付1種は生き残れるかどうかの状況にある」と危機感を募らせる。もともと自工会は、原付2種(排気量51~125cc)を「生活モビリティ」として、免許を手軽に取得できるよう活動してきたが、規制緩和のハードルはなお高い。自工会と全国オートバイ協同組合連合会(AJ、大村直幸会長)は今後、自民党オートバイ議連などと連携し、活動を続けていく考えだ。