格安の電気自動車(EV)を手がける中国の上汽通用五菱汽車が日本進出を検討している。同社からマーケティング事業を受託するアパテックモーターズ(東京都品川区)の孫峰社長は、2023年にも日本で輸入販売を開始し、5年後に年産15万台規模の工場を国内に建設する事業構想を上汽通用五菱側に提示していることを明らかにした。普及には課題もあるが、電動化で進むモビリティの多様化を象徴していると言えそうだ。

 上汽通用五菱は、上海汽車と米ゼネラル・モーターズ(GM)、広西汽車集団が出資する自動車メーカー。20年7月に発売したEV「宏光ミニEV」は2万8800元(当時の為替レートで約45万円、現在の価格は3万2800元)という低価格で注目され、21年は中国で約42万台を売った。

 アパテックは、上汽通用五菱から委託され、日本市場のマーケティング業務を今春から始めた。孫社長は「訪問介護者や物流事業者などに高いニーズがあり、日本市場に商機があることが分かった」と話す。23年春にも型式を取得し、輸入販売を始める計画だ。

 オンラインのみでの販売を想定し、納車や点検・整備はガソリンスタンドなどとの協業で全国に約1千拠点以上のネットワークを構築する構想を持つ。日本で売るにはエアバッグや横滑り防止装置の追加といった法規対応コストがかかるが、孫社長は「100万円前後で販売できれば十分に勝負できる」とする。

 当面は輸入販売だが、25年をめどに年間3万台をノックダウン生産できる工場を国内で稼働させ、27年頃にはプレスや塗装工程を含む年産15万台規模の工場を新設する意向で、すでに自治体との協議も始めている。

 上汽通用五菱は日本への進出を最終決定していない。ただ、孫社長は「日本で成功すれば他の先進国にも展開しやすくなる」とし、マーケティング結果を踏まえて上汽通用五菱側と協議している。

(2022/11/4修正)