ネッツトヨタニューリー北大阪(小西敏仁社長、大阪府豊中市)は、コロナ禍で大打撃を受けた地域商店への支援活動を継続している。2020年4月に寄付活動を開始し、送客やイベントへの協力などへと活動の幅を広げ、顧客、地域商店、同社の3者にとってメリットのある仕組みとして継続性を担保。地域と共生するディーラーのモデルケースにもなっている。

 地域商店の「本当に苦しい」という声を聞いたのがチャリティーイベント企画のきっかけだという。エンジンオイル交換の売上金全額を、活動に賛同した地元商店150店舗に寄付したのが始まりだ。また「1日こども店長」や「新型車1日試乗」などのクラウドファンディングを立ち上げ、売上金全額を寄付する活動も実施した。

 20年7月からは、集客で地元商店を応援するため、独自の「地域振興券」を発行し、車両購入者へのプレゼントを開始。顧客と地域の店舗とをつなげる取り組みは、開始から約1年で8千万円を超える発券規模となり、1500人以上がこれを使用した=写真。

 1300店に及ぶ加盟店は、従業員全員で地域の店舗を回り募集した。加盟店を獲得した社員には5千円の地域振興券を贈呈し、ホームページで紹介する活動も展開。従業員による店舗の利用も推進する仕組みだ。さらに、地域のイベントを担当してきた知見を生かして、地域商店の小規模な自主イベントにも協力している。

 同社は「通常行う値引きの代わりに地域振興券を発行することで、会社規模以上の金額を地域に還元することができている」と分析する。一方的な支援にとどまることなく、同社を利用してもらうことで顧客と地域に役立つという仕組みは、事業を通じて社会的な役割を果たすことにもつながる。同業者から同様の取り組みをしたいという申し出もあるという。

(次回は7月15日付、五十音順に掲載します)