日本はWP29など国際会議の場で引き続き中心的な役割を果たしていく考えだ(写真は国土技術政策総合研究所での自動運転車の実証実験の様子)

 国土交通省と交通安全環境研究所が提案した自動運転と安全運転支援の技術の高度化に対応するための国際基準が、21~24日にスイス・ジュネーブで開かれた国連の第187回自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で合意された。高速道路を走行する自動運転車の自動車線維持システム(ALKS)の上限速度引き上げと車線変更機能追加など、国際基準の改正と新規策定の合意に結び付けた。官民一体で日本が国連における国際基準化の議論を主導し、政府の成長戦略の一つに位置付けられている自動運転分野などで日本の自動車産業の国際競争力強化につなげる。

 今回、自動運転に関する国連協定規則で改正が合意されたのは2つ。高速道路を走行する自動運転車「レベル3」が備えるALKSの上限速度を、時速60㌔㍍以下から時速130㌔㍍以下に引き上げる。加えて、乗用車に限って車線変更も可能とすることにした。

 トラック・バスの衝突被害軽減ブレーキシステム(AEBS)に関する国際基準の改正も合意した。これまで車両(静止/走行)に対してのみに行っていた試験法に、歩行者に対する試験を新たに追加する。ダミー人形は高さ115㌢㍍の6歳児相当。制動要件は、ダミー人形が時速5㌔㍍で横断するところを時速20㌔㍍で走行する試験車が衝突しないこととする。また、静止車両に対する試験では、試験車の制動要件を時速20㌔㍍から時速70㌔㍍に引き上げ、衝突しないこととする。

 今回のWP29における合意を踏まえて、2023年1月頃の発効に合わせ、同国連規則の国内導入を予定する。

 このほかにも、トラック・バスの後退時に歩行者などに注意を促す警報音の要件などを規定する後退時警報装置に関する新たな国際基準を策定した。また、自動車騒音対策の強化として、実走行における車両の騒音値を下げることを狙いに、より実際の交通環境を反映した試験条件とする国際基準の改正も合意された。

 WP29は、自動車の安全・環境基準の国際調和や政府による自動車の認証の国際的な相互承認を推進することで、安全で環境性能の高い自動車を普及させることを目的とした組織。日本はこれまでも、WP29で共同議長や副議長などを務め、自動運転や安全運転支援の技術などに関連する国際基準の策定などを主導してきた。

 国交省では、日本企業の受注機会拡大などインフラ海外展開の方向性を政府が示した「インフラシステム海外展開戦略2025」などを踏まえ、引き続き「オールジャパン」の体制で、日本の制度・技術の国際標準化などを推進する。