運送事業者の入り口などに設置し、通過時に残溝の計測を可能とする「ミシュラン・クイックスキャン」
TAN―EI―SYAの高輝度ホイールの試作品
黒い塗装でドレスアップ性を高めたクライメイトの「ブラックウルフ」

 トラックドライバーの人手不足が大きな課題となっている運送業界。さらに、ドライバーに時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」への対応にも迫られている。運送事業者は業務効率化による働き方改革や新たなドライバーを獲得するための魅力づくりを急ぎ、足元の課題を乗り越えようとしている。こうした中、タイヤやホイールを手掛けるメーカー各社はそれらの解決に貢献するサービスや商品の展開で、運送事業者をバックアップする動きを強めている。

 運送事業者が力を入れている業務改善などを製品やサービスで下支えする取り組みは、5月に開かれた「ジャパントラックショー2022」でも目立った。この一つがパンクなどタイヤのトラブルを未然に防ぐサービスで、タイヤメーカー各社が率先して取り組んでいる。タイヤ空気圧監視システム(TPMS)などの装着により、大事に至る前に対処することで、物流を途切れさせない狙い。日本ミシュランタイヤ(須藤元社長、東京都新宿区)は空気圧だけでなく、タイヤの溝を測定して通信で知らせる機器の導入を促している。運行前や帰着時の点検にも使用でき、ドライバーの負担軽減にもつながっている。

 同社ではさらに、関連サービスの進化を急いでいる。欧州で既に活用されつつあるタイヤの摩耗状況を磁気で測定する「クイックスキャン」を数年内に国内導入する考え。また、ICタグ「RFID」を24年までにすべてのタイヤに埋め込む計画も進めている。これにより、タイヤの個体管理が可能になりリグルーブ・リトレッドの履歴や、夏・冬タイヤ交換時のタイヤの組み合わせなどもクラウド上で容易に追跡が可能になる。これら人手がかかっていた作業を自動化することで、運行管理者の労務負担も軽くなる。さらに、ロードサービスとの連携も図りやすくなり、万が一のトラブル発生時にも迅速かつ適切な措置がとれるようになる。

 サービスだけでなく製品でも物流課題の解決を提案する動きも出ている。トラック用のアルミホイールを手掛けるハウメット・システムズ・ジャパン(岩本直司代表取締役)は、特殊な表面処理を施すことで汚れが落ちやすいアルミホイール「デュフブライト」を展開している。洗車時間を短縮できる効果があるという。帰着後に洗車をするドライバーは少なくないが、こうした製品を導入すれば労働時間の短縮が可能だ。「ドライバーの残業代などの兼ね合いを考慮すると費用対効果が分かりやすい」(同社)とし、業務効率の向上や働き方改革にもつながる商品として、物流事業者への提案を強化していく方針だ。

 TAN―EI―SYA(横山昭一郎代表取締役、富山県射水市)は、バス向けの高輝度アルミホイールを試作。今後、感染症が落ち着いていけばバス需要の回復が見込める。この際、付加価値として輝きを追求したホイールの導入で、バス事業者の清潔なイメージづくりに貢献したい考えだ。クライメイト(金子健一社長、富山県富山市)もドレスアップ性を高めた黒色のアルミホイールを昨年から販売を始めた。ドライバーがホイールをきれいに見せるため、手入れをする頻度が増えたという。この結果、「トラックの異常に気付けるようになったとの声も聞かれた」(加藤勝彦係長)といい、安全運行にも寄与しているようだ。

 アルミホイールなどによる軽量化の効果も運送事業者への訴求ポイントとなっている。トラックはスチールホイールが一般的だが、あるホイールメーカーによると、「運輸事業者全体のうち4割程度にまでアルミホイールの装着率が高まっている」という。トラックショーに出展したホイールメーカーも軽量化効果による積載量の向上やブレーキへの負担軽減を訴えるところが多かった。また、日本ミシュランによるとダブルタイヤを1本にする「ワイドシングルタイヤ」も標準より200㌔㌘の軽量化が期待でき、引き合いも強まっているという。

 しかし、用品業界も原材料価格の高騰や、新車メーカーの減産などが影響し、収益面での課題が増している。これらをいかに乗り越え、24年問題の解決という新たなビジネスチャンスをものにできるか、注目が集まっている。

(前野 翔太)