価格を抑えたEVバンを提供

 自動車メーカーが電気自動車(EV)の開発を急ぐ中、国内でも独自にEVを開発する新興メーカーの誕生が相次いでいる。特に動きが活発なのが宅配などラストワンマイル物流に活用する商用EVだ。5月12~14日開催のジャパントラックショーでは、大手トラックメーカー2社がEVトラックを展示する中、EVベンチャー2社が自社開発の車両を展示し、注目を集めた。新興メーカーはどのような戦略を描いているのか。フォロフライ(京都市左京区)の小間裕康CEOに聞いた。

 ―バンタイプ「F1V」は価格380万円とEVとしては価格を抑えている

 「非常にシンプルな造りにしている。物流事業者からはコストパフォーマンスが求められている。もちろん安全性は譲れないため、その部分は徹底して開発している。今後義務化されていく安全装備などにもしっかりと対応する」

 ―ラインアップはどの程度持っているのか

 「今はバンタイプの商用EVだけだが、他にも複数開発している。現状はSBSホールディングスにこのバンタイプを納めていく。EVトラックも年内には投入したい」

 ―航続可能距離はどの程度を確保するのか

 「ラストワンマイル配送は1日100㌔㍍ほどと言われている。そのため満充電で走行できる航続可能距離はカタログ値で300㌔㍍ほど必要だ。当社のEVは実使用で200~220㌔㍍になる」

 ―SBSホールディングス以外への販売は

 「まだ具体的な企業名などは公表できないが、導入が決まっている事業者もある。物流企業は荷主から脱炭素対応を求められ始めているが、対応できる車種がないというのが実情だ。まずは来年度(2023年7月期)100台以上の販売を目指す」

 ―現在は中国のメーカーで生産している。今後も続けるのか

 「中国に限らず複数の完成車メーカーと協議しており、日本のメーカーともコンタクトをとっている。国内メーカーに生産を委託する可能性もあると思うが、意思決定が複雑なので、すぐには良い返事をもらえていない」

 ―販売網の確保は

 「急速に増やすつもりはないが、大手商社とは交渉を進めている。すでに大手リース会社数社とも契約を締結した。リース会社はメンテナンスリースが主力なので、アフターサービス体制が無ければ取引するのは難しい。ベンチャー企業にとって一番難しいのが、この部分だろう。リース会社との契約は決してハードルが低くない。まずは物流事業者のメンテナンス網を活用して対応していく」

 ―既存の自動車整備ネットワークとの連携は考えているのか

 「提携を進めようとしている。整備ネットワークは中小企業の集まりなので、個別に説明、対応する必要がある。アフターサービスを担って頂ける工場には、整備マニュアルと検査キットを提供して当社のエンジニアがレクチャーする。多くの工場でも対応できる内容だ」

 〈プロフィル〉こま・ひろやす 2000年甲南大学卒。大学時代に音楽家派遣サービスのコマエンタープライズ設立。電機メーカーのマーケティングやセールスプロモーションなどにも事業を広げた。10年にEVスポーツカーを開発するGLMを設立。11年3月、京都大学大学院事業創再生マネジメントプログラム修了。フォロフライは21年8月に立ち上げた。1977年8月生まれ、44歳。兵庫県出身。

(西村 真人)