鋼材販売価格の改善が続いている。鉄鋼大手3社の2021年度の鋼材平均価格は3社とも10万円を超え、前年度から比べると2~3万円を超える上昇となっている。鉄鉱石など原材料価格の高騰分を反映したもので、製品価値の転嫁も含めて価格改善が進んでいる。主原料のみならず副資材も高値圏で乱高下を繰り返しており、各社は「引き続き、価格改善活動を継続し、安定した収益基盤を確立する」(JFEホールディングスの寺畑雅史副社長)方針だ。

 国内鋼材価格の上昇局面が続いているのは、自動車メーカーなど鋼材の大口需要家向けと結ぶ長期契約「ひも付き価格」。各社が22年3月期決算発表で公表した21年度の鋼材平均価格は、日本製鉄が11万7700円、JFEスチールが10万3700円、神戸製鋼所が10万5600円。前期と比べるとそれぞれ3万1600円、2万8900円、2万3300円上昇している。

 日本製鉄の森高弘副社長は「21年度は紐付き分野について非常に前進し成果があった」、JFEHDの寺畑副社長も「主原料コスト上昇分の鋼材価格への迅速な反映などの価格改善活動において一定の成果が得られた」と評価した。

 特に22年1~3月期の改善幅が大きく、神戸製鋼所の勝川四志彦取締役執行役員は「とくに4Qにメタルスプレッドの改善が進んだ。22年度のマージン改善にもなる」と、さらなる価格改善に期待を込める。

 各社の今年度の鉄鋼事業は、半導体など部品調達難の影響が段階的に正常化し、下期から自動車生産台数が回復すると予想している。ただ「ロシア問題で原料炭以外にも合金鉄なども上がっている。また、21年度でみても合金鉄、副原料、輸送費の上昇分も大きく出ている」(JFEHDの寺畑副社長)ことから、今年度も継続して価格改善活動に注力する方針だ。

 JFEスチールでは価格上昇の転嫁分について、主原料で2万円、合金鉄や副原料、輸送費などその他で1万円を目安に交渉を展開しているという。 

 日本製鉄の森副社長も「ロシア・ウクライナ問題や急速な円安影響を受け、より高い水準で大きく振れている。こうした事態に対応するために紐付き分野における取り組みについては継続的に強化していく」と話す。急激な環境変化を迅速に価格に反映させ、適正マージンの確保を進めていく考えだ。

 各社が発表した22年3月期通期決算は、3社そろって増収増益を確保した。日本製鉄は統合後過去最高の連結事業利益となる9381億円を確保。JFEHDは売上収益が初めて4兆円を超え過去最高となった。神戸製鋼所は鉄鋼事業における自動車や建築向けを中心とした需要回復が増収に寄与した。