トヨタ自動車は12日、新型電気自動車(EV)「bZ4X」を5月12日から国内販売すると発表した。アフターサービスや下取り価格といったEV保有への不安を解消するために、個人向けはサブスクリプション(定額利用)サービス「KINTO(キント)」のみで提供する。法人向けもリース販売に限定する。一般的な売り切りとしないことで、駆動用バッテリーの全数管理と回収を徹底する狙いもある。12日から第1期分として3千台分の申し込みを受け付け、2023年3月までで計5千台を販売する計画だ。

 キントではbZ4X専用のプランを用意する。利用期間を最長10年まで設定でき、5年目以降は月額利用料金を段階的に引き下げるとともに中途解約金も免除する。契約期間中は10年もしくは20万キロメートルでバッテリー容量70%を保証する。月額料金にはコネクテッドサービスも含み、無線通信で車載ソフトウエアをアップデートするOTA(オーバー・ジ・エア)で機能を進化できるようにする。

 EVは走行中に二酸化炭素を排出しないのが特徴だが、bZ4Xはライフサイクルアセスメント(LCA)視点での脱炭素化にも取り組む。生産する元町工場(愛知県豊田市)では、再生可能エネルギー由来の電力を100%使用する。サブスクもしくはリース販売に限定することで流通車両を全数管理し、バッテリーのリユース、リビルト、リサイクルを徹底する。

 bZ4Xはスバルと共同開発した専用プラットフォーム「e―TNGA」を採用したトヨタ初の量産EV。バッテリーは10年後90%という世界トップレベルの電池容量維持率を確保する。冬場の暖房による消費電力を抑制する空調システムや、走行距離に換算して最大11.6キロメートル相当を1日で発電するソーラー充電システムをオプション設定。高い電費性能で航続距離は559キロメートル(WLTCモード)を確保する。

 車両価格は前輪駆動モデルが600万円、四輪駆動モデルが650万円(いずれも消費税込み)。キントの利用料は5月2日に発表する。