積水化学工業は、電気自動車(EV)などの高容量リチウムイオン電池セルの発火に耐える「難燃軽量シート」を開発したと発表した。独自の塩素化塩ビの高難燃樹脂と繊維強化複合技術を活用した。

 中国などでEVに搭載した高容量なリチウムイオン電池が発火する火災事故が頻発している。今回、遮炎性と断熱性を持ち、軽量な樹脂繊維複合材料を開発した。高難燃樹脂をガラスマットに含浸して樹脂繊維複合材とするとともに、特殊な3層構造とした。電池パックカバー材としての強度を持たせながら、高い遮炎性と断熱性を両立し、従来品であるアルミと無機鉱物シートを組み合わせた材料と比べて約3割軽量化した。

 開発した難燃軽量シートは7分間、1200度のバーナーの炎を当てても変形しなかった。電池パックの蓋部分に適用した熱暴走の実験では、アルミが火を噴いたのに対し、開発品は火を通さなかったとしている。

 同社は今後、パートナーと試験販売に向け量産開発を進める。住宅定置用電池、航空機や太陽光発電所などへの展開も視野に入れている。