スピーカー事業部市販部市販商品部企画設計二課土肥寛幸課長(右)と東北パイオニアサウンド事業統括部市販部営業部照井裕部長
イベント出展で、ジムニー向け製品をPR
一挙に発売したカースピーカー類
DIYでの取り付け動画の例

 コロナ下で車の利活用が見直され、車内の音響空間をより良くしたい機運が高まっている。パイオニアは、カロッツェリアブランドなどからカースピーカー類7製品を一挙に発表し、10月から順次発売している。製品改良では現代のトレンドに合った味付けを施したほか、海外向けユニットサブウーファーを国内に初めて導入し、新しい顧客層の開拓にも力を入れたい考えだ。車種適合の確認とともに、正しい装着方法でスピーカーのポテンシャルを発揮させるために、取り付け動画なども作製しユーザーの囲い込みも図る。(前野 翔太)

 DIYニーズを追い風に、カロッツェリアブランドのカースピーカーが2020年度は2桁成長、21年度も引き続いて2桁成長を見込んでいる。音楽ストリーミングサービスの普及から車内で音楽を聴く機会が増えたことや、車種専用パーツの販売好調が要因と分析している。カスタマイズの効果が分かりやすいことも、後付けオーディオ製品を購入する楽しさでもある。

 カスタムフィットスピーカーのスタンダードモデル「Cシリーズ」と、エントリーモデル「Fシリーズ」の改良モデルを11月に発売した。音楽のトレンドが日々変わる中で、ハイレゾ音源が主流へと傾いている。そこで、両シリーズはニーズに合致した音色になるよう細かいチューニングを施し、ハイレゾ再生に対応した。

 CシリーズはSUVなどに、Fシリーズはコンパクトカーや軽自動車を中心に販売が好調だという。適合車種の確認を進め、700~800車種に装着が可能。幅広いサイズのラインアップを用意し、今後も取り付け可能車種の確認を急ぐ予定だ。

 海外でも高いシェアを誇るパイオニアのカースピーカー。同社によると、中南米、中東、インド、ロシアなどは特に音響カスタマイズの需要が高いという。「海外市場は音楽を聴く文化が日本と全く異なる。日本は例えるなら、コンパクトでスマートに。海外は大音量の迫力を体で楽しむ」と、サウンド事業統括部市販部営業部照井裕部長は説明する。

 日本のユーザーにも独特の音圧を楽しんでもらうため、グローバルシリーズのユニットサブウーハー「TS―W312S4」を国内に初めて導入した。同製品は世界累計出荷台数は500万台を超え、スピーカーでは再現できない重低音を再生し、パワフルな音圧を実現したのが特徴だ。音楽イベントや野外フェスに親しみがあり、カーオーディオの楽しさを知らない若年層のほか、居住環境の問題から室内で大きな音を出せない層に提案し、新規顧客の開拓を目指す。ユーザーの同製品に対する評価は高く、今後の販売増への期待は大きい。

 スピーカーカスタマイズの認知度向上と新たなニーズ獲得のため、20年3月にスズキ「ジムニー」「ジムニーシエラ」専用のスピーカー取り付けキットを発売した。カスタマイズの幅が広い車種で、外観に飽き足らず車内空間にも手を加えたいユーザーニーズに着目し開発。純正スピーカーよりも、大口径のカスタムフィットスピーカーへアップグレードできると口コミが広がり、想定の5倍を超える売れ行きを記録。一時は生産が追い付かなくなるほど人気が出たという。

 そこで、ジムニー・ジムニーシエラ用トゥイーター取り付けキット「UD―K301」も11月の新製品としてラインアップした。トゥイーターは、配線処理の関係からダッシュボードに穴あけ加工が必要な場合が多い。ドアピラーの内装に埋め込むパーツを開発することで、純正の雰囲気を損なうことなく取り付けが可能になった。ウェブサイトでは、ジムニーのカスタマイズを提案するページを作成し、拡販につなげる。

 また、ジムニーのカスタマイズ同様にDIY取り付けを支援する「レッツDIY」をテーマにしたページの展開を20年6月から開始した。コロナ下の巣ごもり需要から、ユーザー自身でスピーカーを取り付ける人が増えたことを察知し、車種別の内張のはがし方やスピーカーの取り付け方法などをユーザーに分かりやすく紹介する動画を作製。「動画の提供で、カースピーカーのハードルを下げたい。イヤホンの買い替えの感覚で、簡単にカスタマイズを楽しんでもらえるよう目指している」とスピーカー事業部市販部市販商品部企画設計二課土肥寛幸課長は話す。多彩な車種の動画展開を進めている。今後も、ユーザーや販売店などの声を吸収し、さらに幅広い車種・スピーカーの動画を作製することで、ユーザーのDIYを支援したい考えだ。

 音響分野の開発を担う東北パイオニアは、8月にサウンド事業部に組織統合し、OEM、市販、ホームオーディオブランドのTADなどの企画、開発、生産など一括して取り組める体制に整えた。今後、組織統合によるメリットを生かし、パイオニアがこだわる音響分野の更なる製品に期待がかかる。また、スピーカーカスタマイズを知らないユーザーに対して、イベントの出展などを増やし新規顧客の開拓で、来年度の成長に取り組んでいく。