スカイディスク(内村安里社長兼CEO、福岡市)とトヨタ自動車九州(永田理社長、福岡県宮若市)は、レクサスブランド車を生産するトヨタ九州宮田工場の品質検査ラインで、人工知能(AI)が異音を検知するシステムの本格稼働を開始したと発表した。異音検査システムは熟練検査員の高度な技能を採り入れて開発した。AIを活用した異音検査を車両品質検査で実用化するのは国内で初めて。

 宮田工場に導入した異音検査システムはスカイディスクが開発した音に特化したAI分析ソリューションを活用する。検査走行中の車内の音データを人の聴覚特性に基づいて分類し、抽出された約1万個以上の特徴から異音を判定するAIモデルを使う。品質検査における活用に向けて異音検査での音データをデータベース化するとともに、熟練検査員の経験や判断をAIに学習させるなど、車両製造ライン向けにカスタマイズしたシステムを両社が共同開発した。

 出荷前車両の車内異音検査は走行中の車両の車内に異音がないかを最終確認する工程で、従来は検査員が聴覚で「音」を聞き分ける官能検査なため、熟練検査員が担当していた。

 システムの導入で品質検査の効率化や安定化、検査員の負担軽減が図れるという。2018年4月から実際の工程で異音検査システムを試験的に運用して精度向上を図ってきた。品質の安定性を確認できたことから本格稼働を開始した。

 トヨタ九州では今後、宮田工場内の別の検査ラインへのシステムの導入を検討する。