日産自動車は、放射冷却素材「ラディクール」を純正アクセサリーに採用したと発表した。外部のエネルギーを使用することなく、物体を冷却できるサンシェード、カーサイドタープ、ハーフボディーカバーを販売する。まずは「キックス」向けを展開し、順次対象車種を拡充する。自動車メーカーで同素材を採用した用品を販売するのは日産が初めて。

 ラディクールジャパン(何軍社長、東京都中央区)が開発した素材で、独自の「放射冷却メタマテリアル技術」で物体を冷却できる。同技術は物体の表層の材料組成とそのミクロ構造を調整することで、物体からの電磁波放射を大気にほとんど吸収されることのない領域の波長体に集約させ、地球の熱を宇宙空間に放出できる。同素材を適用した純正用品は、一般的な冷却用品と比べてタープ内や車室内の気温上昇をより抑制できるという。

 ラディクールジャパンは、カルビー会長などを務めた松本晃氏が立ち上げた会社。日産の総合研究所は10月、同社と自動車用放射冷却部品の共同開発契約を締結しており、新たな実用化を目指した研究開発を開始した。