新型パワートレイン

 ダイハツ工業の「ロッキー」に搭載した新開発のシリーズ式ハイブリッドシステムは、トヨタ自動車の「トヨタハイブリッドシステム」をベースにしながらもシリーズ式を採用したのが特徴だ。新開発1・2㍑3気筒エンジンにシステムを組みあわせ、コンパクトカーに適した小型で低コスト、環境性能の高いパワートレインに仕上げた。

 シリーズ式ハイブリッドシステム「eスマートハイブリッド」はエンジンで発電した電力を使って100%モーターで走行する。シンプルな構造で、モーターとエンジンの両方で駆動するパラレル式のハイブリッドシステムと比べて制御しやすい利点がある。

 ハイブリッドシステムの構成部品の一部はトヨタ自動車の技術や部品を活用する。発電・駆動用のモーター、ジェネレーターはトヨタのC、Dセグメント用を使用。PCU(パワーコントロールユニット)もトヨタのユニットを活用し、制御する電子基板をシリーズ用に変更した。

 電池もトヨタグループ製を採用した。セル数は48で、バッテリー容量は0・73㌔㍗時。シリーズ式ハイブリッドシステムの日産自動車の「eパワー」と比べ、電池の容量は小さく、昇圧技術でカバーする形を選んだ。

 このシステムに新型の「WA型エンジン」を組み合わせる。ダイハツはこれまで1・0㍑3気筒の「KR型エンジン」を小型車に適用していたものの、環境規制の強化やSUVのような車両重量の重いモデルがラインアップに増えてきたため、1気筒当たりの排気量を増やすとともに、さまざまな工夫で燃費改善を図った。

 その一つがロングストローク化だ。従来のKRの場合、ボアストローク比は1・18なのに対して新型では1・28と縦長の形状にした。表面積を減らすことで冷却損失を減らす。ボアピッチはKRが78㍉㍍だったが84㍉㍍とした。

 また、従来は吸気口にかけて湾曲していたポートをストレート化することでタンブル(縦渦)を強化し、筒内の燃焼効率の向上を図った。ダイハツは軽自動車で燃焼効率を高めるマルチスパーク技術を採用したが、新型エンジンでは同技術を使用することなく、燃焼効率を高めた。軽に採用しているデュアルポートと低ペネトーレションは採用した。

 HVと組み合わせる場合は1500~5600回転で使用し、最大40%の熱効率を実現。エンジンの最大出力は60㌔㍗、最大トルクが105ニュートン㍍となる。HVと組み合わせない場合でも最大熱効率は約39%と従来のKRエンジンよりも高めた。

 一方で部品点数もKR型と比べて10%削減した。オイルフィルターやレベルゲージ、ウォーターポンプ管を内蔵するなどし、コスト削減とコンパクト化を両立した。

 新型エンジンは滋賀工場で生産する。すでにインドネシア向けの小型SUVに使用しており、今回、国内とHV向けに手を加えた。

 ダイハツは今後、ストロングハイブリッドシステムを軽自動車に展開する方針だが、パッケージやコスト面から、新技術をすべての軽自動車に適用するのは難しいとしている。電気自動車(EV)やマイルドハイブリッド車などモデルに応じて適した電動パワートレーンを設定する方針だ。