新開発プラグインハイブリッドシステム

 三菱自動車が28日に発表した新型「アウトランダーPHEV」には、新開発プラグインハイブリッドシステムを搭載する。駆動用バッテリーの容量はコスト、重量、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量などのバランスを考慮した上で、電気モーターだけで走行できる距離を伸ばした。モーター出力も引き上げ、走行性能の向上を図った。プラットフォーム、バッテリー、先進運転支援技術についてはアライアンスを組む日産自動車の技術を全面的に活用することで、三菱自は中核技術であるPHVの開発にリソースを集中、三菱自のSUVらしい走りの実現を目指した。

 新型プラグインハイブリッドシステムは、バッテリー容量を13・8㌔㍗時から20㌔㍗時に高めたことなどから、電気モーターだけの走行距離を現行モデルの1・5倍となる87㌔㍍(WLTCモード)に伸ばした。バッテリーはセルを従来の80個から96個に増やし、電圧も従来の300㌾から350㌾に高めた。電池サプライヤーはエンビジョンAESCだ。

 また、冷却システムは従来と同様の冷媒式だが、ヒートシンク構造の採用で小型化し、バッテリーパックは従来と同じサイズとした。ガソリンタンク容量を従来比で約25%増やした効果もあり、現行車では800㌔㍍だった航続距離は1千㌔㍍以上に伸ばした。

 一方、フロントモーターは、最高出力を60㌔㍗から85㌔㍗、最大トルクを137ニュートン㍍から255ニュートン㍍にそれぞれ引き上げた。モーターをパワーアップするとサイズが大型化してしまうがボンネットスペースには余裕がない。このため新たにフロントモーターに昇圧モジュールを採用、供給電圧を高めることで駆動力の向上を図った。冷却システムでは、現行モデルと同様に冷却性能の高い油冷式を採用した。合わせて永久磁石のレイアウトを見直し、サイズは従来と同等を維持した上でエネルギー効率を高めた。

 リアモーターは、これまで丸線を使用していたステーター側の巻線に、同社として初めて平角線を採用、巻密度を向上し、出力を従来の70㌔㍗から100㌔㍗に高めた。リアモーターの出力が40㌔㍗であるトヨタ自動車の「RAV4PHV」の場合、前輪に対する後輪の出力比が18%なのに比べてアウトランダーは50:50の理想形に近い前後駆動力配分を実現した。

 現行モデルでは「顧客から7人乗りの要望が強かった」(商品企画担当の上原実氏)ものの、リアのユニットが大きく、スペースを確保できなかった。新型車のリアモーターはインバーターを一体化することで小型化、日本の自動車メーカーのPHVでは初となる3列シートを実現した。

 新型PHVは、日産、ルノーとのアライアンスの成果を初めて本格的に反映したモデルでもある。プラットフォームは日産が開発を主導した「CMF―C/D」、電気・電子アーキテクチャー(E/Eアーキテクチャー)にはルノーの開発品を採用した。さらに先進運転支援システム(ADAS)は日産の「ナビリンク機能付きプロパイロット」(三菱車はマイパイロット)を採用する。三菱自の登録車に日産のADASを採用したのは今回が初めて。プラグインハイブリッドシステムを大幅に強化しながらアライアンスの技術をフル活用し、車両価格を抑えた。