ナンバーはクルマ社会のインフラだ(イメージ)

 コロナ禍で猶予期間が設けられていたナンバープレート表示に関する新基準が10月1日から全面適用され、取り付け角度やナンバーフレームの基準が明確化された。違反すると道路交通法に基づく処分(点数、反則金)のほか、道路運送車両法違反(懲役、罰金)にも問われかねない。自動車や主な用品メーカーは対応を終えているが、カスタマイズ(合法改造)事業者などは注意が必要だ。

 新基準は「カバー」「回転」「折り返し」「被覆」の4類型ある。カバーは無色透明でも装着できない。「太陽光を反射したり、カバーに傷が入るなどしてナンバーの識別が困難になる」(国土交通省)のが理由だが、オービス(自動速度違反取締装置)の赤外光を吸収するカバーを締め出す狙いもある。ナンバーフレームを想定した被覆は原則禁止だが、基準を満たしたフレームやボルトカバーは装着が認められる。二輪はフレーム、ボルトカバーとも全面禁止だ。

 国交省が検討会の報告書を踏まえ、車両法を改正したのは2016年4月。ただ、被覆と回転、折り曲げをのぞく規定は21年4月まで5年の猶予期間を設けた。ナンバーの取り付け角度は車体デザインにも左右される。自動車メーカーが一部改良などで新基準に合わせる必要があったためだ。ただ、コロナ禍で新車販売が急減し、基準に合わない在庫車が残っていたことから今年3月に急きょ、半年間の延長措置を取った。

 新基準に違反すると、道路交通法上の「番号表示義務違反」(2点)にまず問われる。125cc以下の二輪車は反則金6千円だが、それ以上は車両法違反となり、最大で50万円以下の罰金だ。

 角度やフレーム、ボルトカバーの数値規定は、10月1日以降に初めて登録・届出がある車両に適用される。9月30日以前の車両には適用されないが「自動車の運行中、番号が判読できる見やすい角度」「番号を被覆せず、自動車の運行中、番号の判読ができるもの」との従来規定が適用されるので、どんな取り付け角度や商品でも認められるわけではない。

 希望番号やご当地、図柄などさまざまな制度でナンバープレートに愛着を持つドライバーも増えてきた。取り付けや飾りに工夫を凝らしたい気持ちもわかるが、本来は所有権の公証や保安基準の適合証明、犯罪捜査、高速道路や民間駐車場での判別など公的な役割を担うものだ。新基準の全面適用は、コンプライアンス(法令遵守)意識を再確認する良い機会にもなりそうだ。