トヨタ自動車が実施した調査では、点検・整備業務に追われるサービスの現場と経営・マネジメント層の意識の乖離(かいり)も課題として浮き彫りになった。好調な新車販売の陰で膨らむアフターサービス需要に見合った人員や設備、人事や評価制度が整っていたのか。メカニック不足が深刻化するなか、トヨタ系販社が抱える課題は同業他社にとっても他人事ではない。経営層の意識改革が問われそうだ。

 トヨタは社員530人を動員し、全国のトヨタ・レクサスの販売全拠点(4852拠点)を訪問。法令項目に加え、会社の仕組みや風土に関するものも含めた全58項目を販社の本部やマネージャー層、メカニックなどから聞き取った。この過程で8拠点の不正事案を発見。国土交通省による監査で判明した4件も含め、合わせて11社12店舗の不正が明らかになった。

 調査の過程で見えてきた課題は大きく5つ。①現場における過大な業務量とメカニック不足②車検制度への役割認識と遵法意識の不足③経営層・管理者と現場との風通しの悪さ④指定整備における監査機能の不備⑤車検を正しく行うための顧客への確認や説明不足―だ。とくに③について、佐藤康彦国内販売事業本部長は「経営層は営業成果を重視し、現場の声や実態を把握せず、現場任せになっていた」と話し「(トヨタの)表彰制度により、これらを助長することにつながっていた」と付け加えた。

 トヨタでは今後、トヨタ生産方式に基づいた改善活動や工場の技能者によるマネジメント研修などを提供し、業務負荷の平準化などを支援する。全国一律の営業方針や目標管理も、販売店表彰制度や販売店契約とともに見直していく考えだ。販社には、経営やマネジメント層が現場の声を把握できる仕組みやメカニックの待遇改善、作業環境の整備に必要な投資を求めていく。

 佐藤本部長は「時間はかかるかもしれないが、1つひとつの課題に向き合い、現場に寄り添った取り組み改善をスタートし、やり続ける覚悟だ」と語った。

 トヨタ系販社では、3月のATグループ(山口真史社長、名古屋市昭和区)傘下のネッツトヨタ愛知(平光順二社長)・プラザ豊橋を皮切りに、7月にはトヨタ子会社のトヨタモビリティ東京(TM東京、関島誠一社長)のレクサス高輪、今月にネッツトヨタ山梨(磯部俊之社長、山梨県甲府市)の本社セイリア店と、相次ぎ不正車検が発覚した。いずれも検査の一部を省略したり、検査結果を書き換えたりしていたもので、対象台数は約6千台にのぼる。事態を重く見たトヨタは、7月から全国の販社を対象とした調査に乗り出していた。