APT-101「バレンTT」を取り付けたバイク
発売から40年の歴史を誇るAZ-101-10「エーゼットミラー」

 バイク好きならば誰もが知る交換用ミラーの逸品が40年続く歴史に幕を閉じる。バイク用品メーカーのタナックス(田中浩二社長、千葉県流山市)は、ロングセラー商品「ナポレオンミラー」シリーズの一部を生産終了したと発表した。メッキ処理を施す製品の部材調達が困難になったことが理由で、販売を終了する6製品は流通在庫のみとなる。

 フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトの言葉「吾輩の辞書に不可能の文字はない」を由来に、どんな車種にも取り付け可能な交換用ミラーとしてナポレオンミラーは1975年に登場した。バイク入手後、カスタマイズの初めの一歩としてミラーの交換が流行。今でも、その風潮は絶えず続いている。

 80年に登場した「AP」シリーズ、81年に登場した「AZ」シリーズ、後年に保安基準の見直しが図られ鏡の面積が大型化された製品など6製品が今回、ラインアップから落とされた。新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受け、製造委託先と取引する鉄工所の高炉が停止。ヘッド部分の原材料となる鋼板の入手のめどが立たなくなってしまった。

 新型コロナウイルスが感染拡大し始めた2020年3月頃から、部材確保が困難になり生産終了のアナウンスを行う決断に至った。ミラーのヘッド部分の形成を担う、プレス職人の高齢化も背景にあるという。

 同シリーズの黒色塗装製品は異なる部材を採用しているため販売を継続する。今後は部材調達や、代替部材の確保ができれば設計変更を加え、リニューアル品としての販売も計画する。営業担当者は、「再販の暁には、ビンテージ物として付加価値を高めた製品にしたい」と意気込む。