トヨタ自動車は30日、東京2020パラリンピック選手村で運行を停止していた自動運転車「eパレット」の運行を31日15時に再開すると発表した。26日に視覚障害を持つパラリンピック選手との接触事故が起きたことを受けて選手村内のeパレットの運行を全面的に停止していたが、誘導員の増強など安全確保の対策を講じた上で運行を再開する。

トヨタは同日、事故の発生状況について分析した内容を公表した。事故が起こった交差点は信号がなく誘導員は2人配置していたが、健常者と障がい者が混在する状況において車両や歩行者の動向を完全に確認できる状態になく、自動運転車のオペレーターとの連携も十分ではなかったという。

こうした状況を踏まえ、交差点に配置する誘導員をこれまでの6人から20人に増員。パラリンピック選手など多様な歩行者に合わせた教育も実施する。車両側の搭乗員もオペレーターに加えて監視員を追加し、車両も接近通報音の音量を引き上げや、手動運転に対応した車両の改良を施す。歩行者側も移動時のルール順守を改めて周知徹底するなど、交通インフラである誘導員、歩行者、車両の三位一体で安全対策を実施する。

豊田章男社長は同日、「接触された方の一日も早い回復を祈る。また、モビリティの運行停止で選手村の皆さんの移動で不便をかけて申し訳ない」と陳謝。その上で「トヨタのミッションはすべての人に移動の自由を届けることであり、今回の学びをモビリティカンパニーへのモデルチェンジに生かしていく」とコメントした。