上場している主要な化学メーカー12社が発表した今期の通期業績予想によると、三井化学とJSP、東レ、東洋紡の4社が前回予想から上方修正し、帝人が売上高のみ上方修正した。三菱ケミカルホールディングスと旭化成、積水化学工業は2021年4~9月期業績を上方修正し、住友化学、宇部興産、カネカは予想を据え置いた。

 半導体不足による自動車の生産調整の影響は「限定的」(JSP)とみているメーカーが多く、全体的に自動車向け材料の需要回復を見込む。ただ、原材料価格の高騰やコンテナ不足による物流の混乱などの懸念材料もあり、その影響度合いも異なることから化学各社の先行きの見通しは一貫性を欠く。

 住友化学は寒波による原料価格の高騰で「石油化学の市況が落ちていく。いい状況が継続するとはみておらず、下期はこうした懸念材料が残る」(佐々木啓吾常務執行役員)と想定、通期業績予想を据え置いた。三菱ケミカルホールディングスは「コンテナ不足や寒波など予期せぬリスクが発生し、バランスが崩壊している。順調に景気が回復する方向にはいかないのでは」(伊達英文CFO)と先行き慎重な見方を崩さない。

 旭化成は、石化製品の市況上昇に加え、自動車の電動シフトが想定以上のペースで進む見通しなどからリチウムイオン電池のセパレーターの販売増を見込み、4~9月期予想を上方修正した。帝人は、原材料価格の高騰による販売価格の改定分を反映させて売上高のみ予想を引き上げた。

 21年4~6月期業績は、自動車向け材料が業績回復のけん引役となった。宇部興産では、化学セグメントのすべての製品の販売数量が増えた。営業利益の伸び率が最も大きかったのはナイロンラクタムで、原料価格は高騰しているものの「需給が引き締まった状態で、価格改定も進んでいる」(藤井正幸取締役常務執行役員)ことが大きく寄与した。三井化学もモビリティセグメントのPPコンパウンドとエラストマー、機能性コンパウンド、機能性ポリマーが堅調に推移した。