ルノーは30日、2030年に欧州で販売する新車の90%を電気自動車(EV)にすると発表した。まず25年までにはハイブリッド車(HV)を含む電動車の比率を65%まで引き上げる。電動車に搭載するリチウムイオン電池を調達するためエンビジョンAESCグループ、仏のスタートアップと提携するとともに、アライアンスを組む日産自動車、三菱自動車とEVの基幹部品を共有化、価格を抑えたEVを市場投入する。

 同日開催したオンラインイベント「ルノーeウェイズ」で、ルノーのルカ・デメオCEOは「ルノーの挑戦的、戦略的な選択をした日」と述べ、EVシフトを加速する戦略を発表した。従来計画では30年にHVも含む電動車の販売比率90%としていたが、今回、HVを除外、EVに特化する戦略に転換する。

 EV比率アップに向けて課題となるのが車載用電池の調達だ。エンビジョンAESCがルノーの仏北部にあるEV工場隣接地に小型車向けバッテリーの工場を新設して、EV「ルノー5」向けに供給するほか、日産にも供給する。また、スタートアップのベルコールに出資し、Cセグメント以上クラス向け高性能リチウムイオン電池を共同開発する。26年には10ギガワット時の新しい電池工場を立ち上げ、30年には20ギガワット時に増やす余地を持つ。EVのコストの3割を占めるとされるリチウムイオン電池のコスト低減にも取り組む。日産と三菱自とも電池を共通化する。今後10年以内にバッテリーパックのコストを段階的に60%削減し、25年にはキロワット時当たり100ドル(約1万1千円)以下、30年には80ドル(約8800円)以下を実現する計画。

 EV向けプラットフォームもアライアンスで共有化する。航続距離580キロメートルを実現するCMF―EVプラットフォームを使ったEVをアライアンス全体で25年に70万台の生産を計画する。また、BセグメントのEV専用プラットフォームCMF―BEV採用モデルは、航続距離が最大400キロメートルで、同セグメントのEV「ゾエ」の現行モデルよりも車両コストを33%削減できるとしている。専用プラットフォームを採用したEVは、ルノー5など、25年までに10モデルを投入する計画で、このうち7モデルがルノーブランドとなる。