TMMCZの工場

 トヨタ自動車は欧州事業の強化に乗り出す。欧州では脱炭素化に向けた環境規制が厳しくなる中、トヨタは2025年までに電気自動車(EV)などゼロエミッション車10モデルを含む合計55モデルの電動車をラインアップし、欧州での新車販売台数を現状の1・5倍となる150万台に引き上げる計画。日産自動車とホンダは欧州の工場を閉鎖するなど欧州事業を縮小する中で、トヨタは攻めの姿勢を鮮明にする。

 欧州統括会社のトヨタ・モーター・ヨーロッパはトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・チェコ(TMMCZ)でAセグメントの新型車の生産を決定。チェコ工場はグループPSA(当時)との合弁だった工場で、トヨタ「アイゴ」とプジョーとシトロエン向けアイゴの兄弟車を生産している。今年1月に合弁事業を解消し、トヨタの工場となった。

 これを機に生産能力を増強するとともに、ハイブリッド車(HV)などの電動車の生産増に対応するため、200億円超を投資して21年後半にはHVモデルを含む「ヤリス」を生産する。チェコ工場で生産する新型車は、ヤリスと同じ「トヨタニューグローバルアーキテクチャー(TNGA)GA―B」を採用、Bセグより小さいAセグとなる。トヨタは欧州市場向けAセグコンセプトモデル「アイゴXプロローグ」を3月に発表している。

 トヨタは燃費規制が厳しい欧州市場で、電動車の商品ラインアップの拡充を急ぐ。30年時点でHVを含む電動車の販売比率を100%にする計画で、このうちEVと燃料電池車(FCV)の販売比率を40%と想定、日本や北米など他の地域以上に電動化が進むとみる。

 調査会社のJATOダイナミクスによると、欧州における20年のメーカー別二酸化炭素(CO2)排出量平均ではトヨタが最も低い水準となり、HVを中心とした電動車販売が奏功した。今後、欧州ではEVのラインアップも拡充していく。

 一方、トヨタ以外の日本の自動車メーカーの欧州事業は苦戦している。日産は年内にもスペインのバルセロナ工場を閉鎖、三菱自動車も欧州向け新規車両開発を凍結。アライアンスを組むルノーと連携して欧州事業の効率化を進める。

 ホンダは年内に英国工場、トルコ工場を閉鎖するが、電動車を積極的に投入し、販売活動は継続する。