トヨタ自動車は19日、中国・上海市で開催中の上海モーターショーで、電気自動車(EV)の新シリーズ「bZ(ビーズィー)」を発表した。第1弾としてスバルと共同開発したSUVタイプの新型EV「bZ4X」を2022年央までにグローバルで販売する。同シリーズはスバルに加え、スズキやダイハツ工業、中国EV大手のBYDとの共同開発によりラインアップを拡充。25年までに新シリーズ7車種を含め、15車種のEVをグローバルに展開する計画だ。車の電動化が急速に進む中国をはじめ各市場で攻勢をかける。

 bZは「ビヨンド・ゼロ」の略。bZ4Xはトヨタとスバルが共同開発したEV専用プラットフォーム「e―TNGA」を初めて適用した中型SUVモデル。両社が19年6月に合意した内容を具体化した。トヨタの電動化技術とスバルのAWD(全輪駆動)技術を持ち寄り、高い環境性能と走破性を持たせた。異形ステアリングホイールやステアバイワイヤなどの新技術も採用した。

 bZシリーズは、スバルやダイハツ、スズキ、BYDと共同で開発する。各社が持つEV技術や車載電池のノウハウ、コンパクトカー開発の知見などを生かし、さまざまなニーズに合わせたEVを作り分ける。前田昌彦執行役員CTO(最高技術責任者)は「それぞれの強みを生かすことで新しい価値を持つEVをつくることができる」とコメントした。25年までに同シリーズから7車種を導入する予定。現在、トヨタは6車種のEVを展開しており、同年までにEVの品ぞろえを15車種まで増やす。

 トヨタはライフサイクル全体での二酸化炭素(CO2)排出削減につながる電動化戦略を重視する。各国の再生可能エネルギーの導入状況や充電インフラの整備などを踏まえ、最適なパワートレインを選択できるよう電動車のフルラインアップ化を進める。25年にはハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などを含め、電動車を55車種から70車種程度に増やす。

 世界的なカーボンニュートラルの流れを受け、自動車各社は電動化へと舵を切る。フォルクスワーゲンは、EV専用プラットフォーム「MEB」を開発し「ID.3」を皮切りに適用を拡大しつつ、フォード・モーターにも提供する。ゼネラル・モーターズ(GM)は35年までにすべての乗用車を電動車とする計画を掲げ、25年までにEV30モデルを市場投入する方針。