パラノビチ・ノルバート駐日ハンガリー特命全権大使とセーレンの川田達男会長

 セーレンは16日、ハンガリーに新会社を設立し、自動車向け合皮シート材を生産する工場を建設すると発表した。車両の電動化など環境対応を加速する欧州域内で軽量化に優位な材料の現地供給体制を構築し、車両資材事業の収益拡大につなげる。欧州域内の生産拠点は初めて。新工場建設の投資金額は約55億円。生産能力は月間40万メートルを見込み、2022年12月から量産開始を予定する。

 首都ブタペストに全額出資の新会社「セーレンハンガリー」を4月に設立する予定だ。資本金は約1200万円。22年までに約26億円まで増資する。新工場はブタペストから約200キロメートル南のペーチに設ける。敷地面積は23万平方メートル、工場面積は2万6千平方メートル。11月に着工する。売上高は23年に約88億円、24年に約110億円を見込む。

 セーレンは、車両資材事業のグローバル拠点として、日本、米国、メキシコ、中国、タイ、ブラジル、インド、インドネシアに生産拠点を持つ。自動車向け合皮シート材「クオーレ」の受注が好調で、23年以降はグローバルで月産100万メートル分の生産能力が不足する見通し。ドイツ以東の中・東欧地域に自動車関連企業が集中していることからハンガリーに新工場の建設を決めた。

 川田達男会長は「海外で売上が伸びている。将来的には売上の約8割が海外で占める」と述べ、今後もグローバル展開を加速する考えを示した。