JSRは、半導体材料やディスプレー材料などで構成するデジタルソリューション事業に重点的に投資する2025年3月期までの中期経営計画を発表した。特に需要拡大が見込まれる半導体材料にリソースを集中して、石化系事業は縮小する。コア事業に位置付けるデジタル事業とライフサイエンス事業の合計で24年度に売上高3千億円、営業利益600億円を目指す。

 石化系事業から、デジタルとライフをコア事業とする新しい事業ポートフォリオに構造改革を進めることで、24年度に過去最高益を達成する計画だ。

 成長のけん引役となる半導体材料事業では、M&A(企業の買収・合併)を含む事業規模と分野の拡大を図る。先端フォトレジストであるEUV(極端紫外線リソグラフィー)の本格立ち上げ需要を取り込むとともに、市場拡大が見込まれるArF(フッ化アルゴン)の高シェア維持を図る。四日市工場の生産能力増強と生産効率化に向けて設備を導入する。需要に応じて、グローバルでも生産能力を拡充する。

 半導体の「先端材料市場は新技術の取り込みが加速している」(エリック・ジョンソン最高経営責任者)。微細化や、構造・工程の複雑化に対応する材料を供給する体制を整える。同社はArFのグローバルシェアが30%を占める。市場拡大に追随して、高いシェアの維持を図る。

 デジタル事業は24年度に売上高2千億円を目指す。内訳は半導体材料が1200億円、ディスプレー材料とエッジコンピューティングの合計が800億円。半導体材料を成長ドライバーと位置付け、ディスプレイ材料・エッジコンピューティング事業は選択と集中による収益率アップを図るとともに、新製品の投入や次世代事業テーマを検討していく。