ルネサスエレクトロニクスの那珂工場

 福島県沖を震源地に最大震度6強の大型地震が13日発生した。揺れが大きかった福島県や宮城県では、一部の新車ディーラーで店舗建物や預かり車両の損傷などの被害が確認されている。製造系では、北関東に生産拠点を持つルネサスエレクトロニクスや一部のタイヤメーカーが安全確保のために稼働を停止。自動車メーカーは稼働停止に至らないもののサプライチェーンへの影響を確認している。

 トヨタ自動車の生産子会社であるトヨタ自動車東日本(宮内一公社長、宮城県大衡村)は、東北にある大衡工場(同村)と大和工場(同県大和町)、岩手工場(岩手県金ケ崎町)の3工場を15日から通常稼働している。一部工場で設備がずれるなどしたものの、人的被害も確認されていないという。

 日産自動車は、エンジンを生産するいわき工場(福島県いわき市)が一時停電となったものの大きな被害は確認されず15日から稼働している。北関東では群馬県に生産拠点を構えるスバルも通常稼働しており、今後の調達への影響度合いを精査している。

 トヨタ系サプライヤーでは、デンソーや豊田合成、トヨタ紡織などが東北に生産拠点を持つが、一部の建物や設備に軽微な損傷があった程度で「15日から平常通り稼働している」(デンソー広報渉外部)という。

 半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、那珂工場(茨城県ひたちなか市)を14日朝からクリーンルーム内の安全確認と装置など被害状況の確認のため稼働を停止。同工場は2011年の東日本大震災で被災した際に3カ月程度操業を停止している。日本ピストンリングは、バルブシートなどの製造を手掛ける子会社の日ピス福島製造所(福島県川俣町)での状況を確認したが、影響は軽微で人的被害もない。設備の位置ずれなどが発生したが、復旧作業を行い操業している。ファルテックの福島工場(福島県いわき市)に影響はなく通常操業を続けている。

 タイヤメーカーは、安全確保のために操業を一部停止している。住友ゴム工業の白河工場(福島県白河市)は地震発生時から操業停止。配管の損傷を確認や修理をしつつ、15日から部分的に稼働を再開している。ただ、稼働が通常時に戻るのに数日かかる見込み。