愛知製鋼は9日、電気自動車(EV)向け電動アクスルの小型化や低コスト化につながる磁石粉末の高性能化に成功したと発表した。

 同社は、レアメタル(希少金属)の1種であるジスプロシウムを使わないネオジム系ボンド磁石を「マグファイン」の名称で販売する。今回、東北大学大学院工学研究科が持つ解析技術を使い、磁石粉末の製造工程で「熱処理温度と圧力を制御しながら粉末を多結晶状から単結晶状にする技術」「粉末内の結晶方位をそろえる高配合度化技術」の実証に成功した。これにより、高い耐熱性を保ちながら磁力を15%高めることができる。2021年度中に磁粉の量産体制を整え、小型モーター向けなどに売り込みを始める。

 愛知製鋼は21年1月、モーターと減速機を一体化したアクスルとして現在より4割の小型・軽量化が可能になる試作品を公表した。今回の技術を応用した磁粉を使えば、5割の小型化にメドがつき、コストもさらに下がるという。