インポーター各社は日本市場へのEV投入を加速

 輸入車市場で電気自動車(EV)の販売拡大に向けた機運が急速に高まってきた。日本政府が2050年のカーボンニュートラルに向けて新車販売の100%電動化に舵を切る中、EVラインアップが豊富な外国メーカー車勢が日本でのEV拡販に向けた動きを加速している。日本自動車輸入組合(JAIA、ティル・シェア理事長)も輸入EVの認知度向上に向けたユーザー向けイベントを年内にも開催する計画を発表。欧州などと比べて出遅れている日本のEV市場をリードすることで、新車市場での存在感を高めていく狙いだ。

 「アウディが真剣に電動化を推進することを示すのにふさわしい場所だ」―。アウディジャパン(東京都品川区)のフィリップ・ノアック社長は1月中旬、世界に先駆けて東京都内に開設した次世代型ブランドストアの役割について、こう語った。同社は20年にEVの「イートロンスポーツバック」を投入。今年も1月に発売したSUVモデルを含め最大で3台のEVを日本に投入する計画を立てており、EV市場の開拓を強化している。

 またビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン、東京都千代田区)のクリスチャン・ヴィードマン社長も26日の会見で「21年は電動化戦略を加速させる」とし、年内にEVの「iX」と「iX3」「i4」を投入する計画を発表。メルセデス・ベンツ日本(上野金太郎社長、東京都品川区)も新たな認定制度「EQエキスパート」を立ち上げ、EV販売のスペシャリストを育成する考えだ。

 こうした中、政府の35年に新車販売100%電動化を目指す方針を受け、外国メーカー車勢のEV販売拡大に向けた攻勢がさらに強まる見通しだ。ノアック社長は、欧州でEV販売が急拡大していることに触れ、充電インフラの拡充などが進めば「日本でも同じ事が起こるのではないか」と市場が急伸する可能性を指摘する。

 21年中にEVの受注を開始するボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長も11月のインタビューで、「充電網の拡充やEVへの理解が深まれば、急激に増加していく可能性がある」との見解を示している。

 JAIAによると、20年の外国メーカー車EV販売台数は3238台となり、前年の2・3倍に膨らんだ。登録された輸入EVのモデル数は19年と比べて2倍に増加するなど、ラインアップの拡充がEV販売の底上げにつながっている。

 シェア理事長は28日の会見で「日本市場では(輸入車のEVが)十分に認知されていない」とし、輸入EVとPHVのフルラインアップをそろえたイベントを開催する考えを表明した。さらに「再生可能エネルギー供給の飛躍的な増加や充電インフラの拡大などで日本政府のイニシアチブに期待している」と強調し、輸入車業界全体で日本のEV市場拡大に向けた取り組みを強化する方針だ。