米・アリソントランスミッションは、中・大型商用車向けAT(オートマチックトランスミッション)の世界最大手メーカーとして、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)などの電動化に対応した駆動システムの開発に注力する。ディーゼルや天然ガス、水素などのエネルギー源を問わず、様々な駆動ソリューションを提供する。
電動化において、完全電気駆動・HV駆動ソリューションである「Allison eGen」ブランドを立ち上げ、「eGen Flex」と「eGen Power」の2製品を展開する。eGen Flexシリーズは、エンジン停止状態でも車両の走行を可能とした革新的なドライブユニットをはじめ、インバーターや充電式電池を搭載したハイブリッド電気推進システム。2003年以来、グローバルで9千ユニット以上を提供する。
eGen Powerシリーズは、中・大型トラック・バス向け電動アクスル。昨年10月に発表した、同シリーズ最初の電動アクスル「eGen Power 100D」は最もパワフルなシステムの一つで、完全統合型の電動アクスルシステムだ。連続出力200キロワットの電動モーター2台(合計最大出力550キロワット)を採用する。航続距離の向上やバッテリーパックの小型化など、電動アクスルならではの特長を生かし、米国日野とHexagon Purusはゼロエミッション車の開発ロードマップ“Project Z”と同時に発表した「Hino XL7」のショーモデルに100Dを搭載した。
アリソン製フルATは、特許取得済みトルクコンバーターがエンジントルクを増幅するため、ピュアEVやCNG(圧縮天然ガス)燃料車にも適している。EV領域では、水素燃料車の量産が始まっている。世界初の量産水素燃料電池式大型トラックであるヒュンダイの「エクシエント」にはフルATの「アリソン4500R」が搭載され、2025年までに同AT搭載車が欧州市場に1600台輸出される計画だ。
このほか、CNGトラック向けに提供するアリソン製フルATは、変速時に間断なくトルクをタイヤに伝達するため、頻繁な発進・停止を繰り返す都市物流向け車両で優れた車両制御と操作性を実現し、ディーゼル車と同等のパフォーマンスを発揮する。