ロームは、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの設計シミュレーション技術が「第68回電気科学技術奨励賞」を受賞したと発表した。独自手法を開発したことで、パワーデバイスの特性測定の測定範囲を大幅に広げた点が高く評価された。

 この表彰は、電気科学技術奨励会が主催するもので、電気科学技術に関する発明や改良、研究、教育などで優れた業績に対して与えられる。年1回行われ、2020年度は全17件(48人)の技術を表彰した。

 今回ロームが受賞したシミュレーション技術「パワーエレクトロニクスの事前設計を実現させるSiCパワーMOSFETの測定技術及び高精度デバイスモデルの開発」は、SiCパワーデバイスの特性を回路シミュレーター上で高精度に再現する。従来の特性測定では測定範囲に限界があり、デバイスモデルの改良が求められていたという。同シミュレーション技術では独自手法により、幅広い電流領域や過電圧・過電流状態でも高精度に動作を再現できる。SiCパワーデバイスの回路動作や発熱・損失を計算するほか、ノイズ解析も行う。シミュレーションを活用して回路を事前検証することで、開発コストの低減と開発期間の短縮につなげる。