マツダが中期経営計画を見直した。新型コロナウイルスで想定していた環境が変化した影響で計画達成時期を1年後ろ倒しするとともに、具体的な成長戦略を公表した。ブランド価値向上に向けた投資の効率化や固定費の低減を加速する一方、トヨタ自動車をはじめとする他社との協業を深化させる。今後2年間で足場を固め、2022年以降の本格成長につなげる考えだ。

 中計では売上高約4兆5千億円、営業利益率5%以上、販売台数180万台などとする数値目標の達成時期を従来の24年度から25年度に遅らせる。今回の発表では、広告費の見直しや保有資産の最大活用などにより、損益分岐台数を100万台に引き下げる目標も加えた。

 ただ、収益体質の改善に向けた道は険しい。電動化や自動運転といった先進開発領域の開発負担が増加することに加え、21年の稼働開始を控える米アラバマ工場の新設も固定費を大きく引き上げる要因になる。商品力の向上を含む販売力を強化しなければ収益性の改善は実現できない。

 過剰な生産能力も懸念されるものの、丸本明社長兼最高経営責任者は「稼働率を上げるために昔のような姿に戻すのはあり得ない」と強調する。マツダは12年以降、国内を皮切りに過度に台数を追わずに台あたり利益を高めるブランド価値経営を進めており、すでに一定の成果を出してきた。今後もブランド価値向上に向けた投資を加速するとともに、地産地消を実現できる事業体制を構築し、収益改善を図る考えだ。

 固定費抑制とともに、販売力を高めるため、トヨタ自動車との協業も深める。中計の見直しではアラバマ工場で生産する新型SUVや中国でトヨタハイブリッドシステム(THS)を採用する方針も盛り込んだ。藤原清志副社長は「日本の場合、当時はディーゼルや当社独自技術のイメージが強かった。米国や中国では売れるはずだ」というものの、マツダは2013年に国内向けの「アクセラ」にTHSを採用し、販売台数が伸び悩んだ経験がある。THSを搭載したマツダ車の商品力がアラバマ工場などの稼働率維持のポイントの一つになりそうだ。

 コロナ禍を契機に加速し始めた収益改善策の手応えは上々だ。マツダは今期、年間で650億円の固定費削減を目指すが、上期の削減額が500億円と想定を上回るペースで推移。米国などが回復に転じた第2四半期の営業損益は76億円の赤字と第1四半期と比べて赤字幅を400億円縮小し、目標過達ペースで半期を折り返した。コロナの感染再拡大を踏まえ、通期見通しは据え置いたものの、赤字幅をさらに縮小し、中期経営計画で掲げる成長戦略を実現していく方針だ。