安定した車両生産にはサプライチェーンの維持が不可欠(写真はイメージ)

 新型コロナウイルスの影響下で、自動車メーカーによるサプライヤー支援の動きが広がっている。ダイハツ工業は、関係会社など18社のうち資金繰りに困る仕入先に対し、支払いサイトの変更や金型費用の前払いなどの資金支援策を実施した。スズキは、取引先からの提案を基に部品の輸送頻度を柔軟に調整して物流コストを抑える対応を取った。トヨタ自動車は、調達部門を通じてサプライヤーとの情報共有を密に行い、個社ごとの状況把握を進めている。サプライヤーへの多様な支援を通じて、部品調達網の維持を目指す。

 新型コロナの感染拡大が、自動車部品業界に深刻な影響を与えた。コロナ禍による自動車メーカーの生産調整などを受けて各社の収益が悪化。サンデンホールディングスが私的整理の一つである事業再生ADRを申請し、ミツバは国内2工場の閉鎖を決定するなど、経営立て直しの取り組みが進む。足元で完成車生産の回復基調が鮮明になる中でも、感染症の長期化を見据え、自動車メーカーがサプライヤーの支援策を強化している。

 ダイハツは取引関係の深い18社のうち、資金繰りが厳しい企業からの要望に対し、仮払いや金型費用の前払いといった資金面での支援を実施。「この半年くらいで数社の仕入れ先に対応した」(橋本健司調達本部本部長)という。また「仕入先からの要請があれば日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)の助け合いプログラムにも申し出る」(同)と、万全の支援体制を敷く考えだ。

 スズキは、関係の深い仕入先企業から成る「スズキ協力協同組合」に加盟する取引先を対象に、各社の困りごとを聴取するアンケートを行った。この調査で得た回答を踏まえ、仕入先に対する負担軽減策を取った。例えば、新型コロナの世界的まん延で輸出モデルの需要が減った場合など車両生産状況に合わせて、部品メーカーからのトラック輸送の回数を調整する対応を取った。1日の輸送頻度を4回から2回に変更したり、「使用頻度が少なくなったもの、1週間に1回で良い部品はまとめて納入してもらうこともやっている」(鳥居重利常務役員)。この取り組みにより、輸送コストの低減効果が見込めるという。

 トヨタは、調達部門が取引先各社とコミュニケーションを取り、情報把握を徹底している。「資金繰りなどの懸念が全くないかというとやっぱり注視していく必要がある」(近健太執行役員)と、サプライチェーン維持に向け支援体制を厚くする。

 自工会は6月に、資金繰りが厳しくなっている企業を支援する枠組みをつくった。自動車4団体が連携し、部品メーカーなど自動車関連企業が最大1億円の融資を受けられる体制を整えた。コロナ禍で改めてサプライチェーンの維持が重要視される中、自動車産業を支える部品メーカーへの支援策が不可欠となっている。