新たに採用するアイサイトXは、より多くの人の手に届けるため戦略的な価格設定とした

 スバルは、「レヴォーグ」を約6年ぶりに全面改良して発売する。2014年の現行レヴォーグの発売以降、ツーリング性能を訴求し、国内累計販売台数は約14万台と国内の中心モデルへと成長した。新型には、スバルが目指す先進安全や走りの楽しさを具現化して商品力を引き上げる一方、ユーザーの手の届きやすい価格に抑えることを重視した。新たに刷新した運転支援システム「アイサイト」は、30年に死亡交通事故ゼロの目標を見据え、さらなる安全性向上の余地を残す。

 レヴォーグは「WRX」や「BRZ」と並ぶスポーツタイプの中心車種として、14年に初代が発売されて以降、国内の累計販売台数は約14万台に上る。14~17年度の間スバルの国内四輪車販売台数が15万~16万台と高水準に推移した中で、同社の成長を下支えしてきた。約6年ぶりのフルモデルチェンジに当たって、商品企画本部・プロジェクトゼネラルマネージャー(PGM)の五島賢氏は「お客さまの購入重視度の中でも安全性がかなり高く、レヴォーグには先進安全を求める期待が大きい」と分析し、アイサイトの大幅なレベルアップを狙った。

 スバルは1990年代からアイサイトの開発に着手し、99年に「レガシィランカスター」に前身となる「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を搭載し、量産を始めた。同社が「圧倒的な強み」(藤貫哲郎執行役員CTO)としているのが、アイサイトの根幹技術を一度スバルで内製している点だ。基本的に、レンズの選定や半導体の回路設計、車両制御のノウハウなどをスバルが企画するやり方をとっており、第一技術本部PGM(ADAS担当)の柴田英司氏は「20年前からずっと変わらない」という。これをもとにサプライヤーに仕様を提示し、調達先を決める。

 今回、新世代アイサイトは、ハードウエアとソフトウエアを見直した。主要部品のステレオカメラの調達先を、従来の日立オートモティブシステムズからスウェーデンのヴィオニアへと変更し、カメラの画像処理の半導体に米ザイリンクスを選んだ。柴田氏は「いかに決まった期間で目標の性能を達成するように造れるかでサプライヤーを選んでいる」とし「国内であろうが海外であろうが、垣根をつくらず選定している」との考えの下、スバルが提案する条件を満たす調達先を都度検討しているという。

 ベースとなるアイサイトの技術を高めるとともに、渋滞時のハンズオフ支援などの機能を持つ「アイサイトX」を新たに採用した。「GT」「GT-H」「STIスポーツ」の全グレードに対してプラス35万円で同技術を選択できる。3D高精度地図を採用する日産自動車「スカイライン」などがすでに市販化される中、戦略的な価格設定とした背景には、安全技術をよりユーザーの手の届きやすい価格に抑える必要があると考えるからだ。

 2003年に、ステレオカメラにミリ波レーダーを加えたシステムを投入した際には「非常に高くて全然売れずひどいものだった」(柴田氏)と振り返る。この経験から「技術オリエンティッドではなく、買える商品開発をする」(同)との考えをベースに、新世代アイサイトを含め、カメラなど搭載するセンサー類の数を最小限にとどめてコストを抑えつつも、性能面で妥協しない。エンジニアの運転スキルを磨く「スバルドライビングアカデミー(SDA)」を通じ走れるエンジニアが開発に携わり、アイサイトXの運転支援システムの性能を向上した。

 今後さらにアイサイトの性能向上の余地を残す。藤貫CTOは30年の死亡交通事故ゼロに向け「シナリオを分析しながら段階的に機能を追加する」と語り、高度運転支援技術の開発をさらに強化する考えを示した。