横浜ゴムの技術が詰め込まれた「BluEarth-4S AW21」
タイヤ製品開発本部 タイヤ第一設計部 設計2グループ岸添勇リーダー
消費財製品企画部 製品企画2グループの小松星斗課長補佐
用品大賞タイヤ部門の表彰盾を持つ政友毅消費財製品企画部部長と髙橋賢治日刊自動車新聞社社長

 第33回日刊自動車新聞用品大賞のタイヤ部門を受賞した「ブルーアース―4S AW21」。横浜ゴムが約40年ぶりに市場投入したオールシーズンタイヤで、今年1月の発売以来、「販売計画の倍のペースで売れている」と、消費財製品企画部 製品企画2グループの小松星斗課長補佐は話す。センター部から左右斜め方向に広がる「V字ダイバージェントグルーブ」など多様なパターンデザインを取り入れ、ドライ路面に加えて雪上での走行性能を高めたことが特長だ。都市部では急な降雪時の安心感を、積雪地域ではサマータイヤの代替として、提案を進めていく。

 ―ブランドとして初のオールシーズンタイヤを投入した。競合各社も注力する領域だが、同製品の特長は
 タイヤ製品開発本部 タイヤ第一設計部 設計2グループ岸添勇リーダー「ドライ、ウェット、雪道、様々な路面に対応するが、中でも雪上に強いのが特徴だ。スタッドレスタイヤは、凍結路面から雪上路面を、夏タイヤはドライ路面からウェット路面までを重視している。今回は、その中間を狙った製品として雪上からウェット、ドライ路面での性能を重視して開発を進めた。急な積雪時の不安感を軽減できればと考えている。オールシーズンタイヤをこれまで使ったことのない人にも良さを体感してもらえると自信を持っている」

―技術開発の面でも雪上性能を重視して行った
 岸添リーダー「パターンデザインにおいては、V字パターンを取り入れることで排水性を高めた。V字のグルーブと交差するように配置した『クロスグルーブ』は雪上性能に特化した技術で、雪柱せん断力を確保し、効率的に雪を排出することができる」
「コンパウンドにはシリカを配合することでウェット性能を向上させたほか、末端変性ポリマーを配合して雪上性能も合わせて引き上げている」

―昨年の「東京モーターショー(TMS)2019」で初披露した。来場者の反応は
 小松課長補佐「TMS2019ではブースのメーンではなかったにも関わらず、注目度が抜群に高かった。オールシーズンタイヤ自体のニーズが高まっていることも背景にあるが、当社がスタッドレスタイヤの領域で培ってきた技術力への期待の表れでは。本格販売前の1年間に一部地域で試行販売をしていたのだが、ポジティブな意見をたくさん頂けた」

―ユーザーに好評だった点は
 小松課長補佐「やはり『雪に強いオールシーズンタイヤ』という特徴が一番だろう。従来のオールシーズンタイヤは夏タイヤとスタッドレスタイヤの間の中途半端なイメージで、特に雪上性能に対する不安があった。ブルーアース―4S AW21はそんな不安を払拭できる雪への強さと、夏タイヤ並みの走行性能も両立する製品力を支持して頂いている」

―年初から販売を開始した。進捗は
 小松課長補佐「新型コロナウイルスで消費マインドが下がっている中でも、この製品に関しては販売ペースが落ちていない。当初の販売計画の倍のペースで売れており、問い合わせも数多く頂いている。需要が高まる秋に向けて更に引き合いは強まりそうだ」

―今後の製品開発の方向性は
 岸添リーダー「タイヤを通じて安心安全を提供するのが我々の使命だ。このオールシーズンタイヤで培った技術を夏タイヤやスタッドレスタイヤにも展開し、ブランドとして更なる製品力の向上を目指したい」