TOHPO 消臭機能付 PVCカーマットシリーズ
森田丈社長
原材料のペレット生産から自社で手がける
最新鋭の射出成形であらゆるニーズに対応する

 合成樹脂で日本唯一の国産カーマット製造メーカーの未来科学。原材料のペレットから自社生産し、成形、加工、品質チェックなどをすべて国内で行う。日刊自動車新聞用品大賞2020の車内快適部門賞を受賞した「TOHPO 消臭機能付 PVCカーマットシリーズ」は、「ワンポイントで高付加価値をつけたいと思った」のが開発のきっかけだという。機能性とデザイン性を兼ね備えた製品開発に向けて、チャレンジを続けていく。

原材料から国内自社工場で一貫生産

―メイド・イン・ジャパンにこだわりを持つ
 「原材料のペレットから自社で生産しているカーマットメーカーは日本では当社だけだろう。本来であれば、当社で手がける商品はすべて国内生産をしたいところではあるが、クッションなどの一部は海外の協力工場にお願いしている。ただ、品質チェックは厳しく行っており、マット専門メーカーとして、安心して使っていただけるように心がけている。今回受賞したTOHPO 消臭機能付 PVCカーマットシリーズも国内の自社工場でなければ生産できないものだ。PVCの消臭機能付きであったり、車種専用のマットは現状では国内生産でなければ対応できない。価格だけでなく、品質の高い製品を出さなければならない」

―消臭機能を備えたマットとは
 「車に乗る人が車内環境や快適さに求めるものは何か-を考えたとき、消臭だと考えた。ただ、カーマットに消臭機能を付けることは容易ではないことも分かっていた。製造時の耐熱、また、マットを水洗いした時の耐水が不可欠だった。そのためには、マットに何かを付けたり、塗るのではなく、練りこむことが必要になる。そんなとき、大阪ガスケミカル社が開発した消臭機能を持つ薬剤に出会い、PVCに練り込んだ。この薬剤はすでに大手企業なども導入済みで効果が実証されていた。24時間の消臭実験では生ごみ臭などのもとになる硫化水素を95%減、アンモニア臭は50%減、汗などの臭い成分の酢酸は97%減などの強力な消臭効果は、光触媒で効果が戻る。エビデンスが出たあと、世に出す前に自分の周囲の人たちにも使ってもらったが、みんなが効果を体感できたと言ってくれたことで自信を持って発売することができた」

機能性・実用性・デザイン性を兼ね備えた製品へ

―苦労した点は
 「最初はどの程度薬剤を練り込めば良いのかが分からなかった。また、薬剤の粒子が細かいため、樹脂工場では扱いにくい面もあった。その細かな粒子を練ってマットにするだけでも難しかった」
―今後の展開は
 「無香消臭は標準仕様になりやすいため、すべてのマットに消臭機能を付けることも検討したい。また、消臭プラスアルファの機能を付けた製品を開発したい。例えばそれは除菌かもしれないし、抗菌かもしれない、ほかの何かかもしれない。新型コロナウイルスは一つのきっかけで、今後は一つのカテゴリーとして除菌や抗菌が入ってくる可能性はある。今の子どもたちは子どものころにコロナウイルスによる休校を体験している。この子たちが大人になるころには、除菌がスタンダードになっているのでは。また、新しい生活様式では、車を所有する人が増える可能性もある。数少ないソーシャルスペースでもある車内は自宅同様にくつろげるスペースにしたいと思う人も多いだろう。そういう意味では、自宅に置くようなデザイン性のあるものがカー用品に求められているのかもしれない。機能性と実用性、デザイン性を兼ね備えた製品開発にチャレンジし続けたい」