自動車市場の低迷と新型コロナウイルスの影響が部品メーカーの経営を圧迫している。サンデンホールディングスは6月30日、私的整理の1つである事業再生ADRを申請し、事業再生に向けた抜本的な経営改善を進めると発表。金融機関に借入金返済の一時停止を求めるなど支援を仰ぐ。自動車市場の減速による部品販売の低迷に加え、グループの主要工場がコロナ禍で一時休業に追い込まれるなど、主力の自動車機器事業が悪化した。今後、金融機関と協議を進めながら事業再生計画を取りまとめ、収益、財務体質の改善を目指す。

 事業再生ADRは、過大な債務を負った企業の問題を解決するため、2007年度に産業活力再生特別措置法の改正により創設された。民事再生など法的手続きを取らずに、債権者の協力を得ながら事業再建することを目的にしている。

 同社は事業再生ADRの手続きの中で、1千億円余りの借り入れ金の返済条件の見直しなど金融支援の継続を金融機関と協議していく。自助努力による改善策だけでなく、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的改善、今後の持続的成長を目的に、複数のスポンサーとの資本業務提携も検討している。

 事業再生ADRに伴う生産体制の縮小や人員削減については、「現時点では何も決まっていない」(同社)という。

 事業再生ADRを利用するに至ったのは、米中貿易摩擦などを背景に減速していた世界の自動車市場にコロナ禍が追い打ちをかけ、主力の自動車機器事業が悪化したという背景がある。とくに売上構成比で4割を占める欧州市場での需要減退が大きく影響したようだ。

 今後「コロナ禍の影響がどれだけ出るか分からず、欧州の排出ガス規制に伴う電気自動車の普及時期も不透明」(同社)という状況を踏まえ、事業再生ADRにより収益、財務体質の改善を図ることにした。

 空調ユニットやコンプレッサーなどの自動車機器事業は、売上高の7割超を占める同社の主力事業だ。とくに19年度以降は経営資源を集中させてきた。19年4月には20年度までの中期経営計画を見直し、23年度を最終年度とする新たな新中計を発表。生産体制の抜本的見直しや基盤収益力の向上などに取り組み、自動車向けでは次世代車両の環境製品に注力する方針を掲げていた。一方、同年10月には希望退職者を募集。215人が応募し、構造改革を進めてきた経緯もある。

 自動車機器事業の収益は19年3月期、20年3月期と2期連続で減少し低迷している。19年3月期の売上高は前年同期比7・4%減の1934億円、営業利益は同91・5%減の5億円となり米中貿易摩擦によるアジア、中国、米国などでの販売減が減収減益要因となっていた。

 30日に発表した20年3月期決算は売上高は、コロナ禍の影響を受け主要顧客の需要が減少。自動車機器事業の売上高は同20・5%減の1537億円、53億円の営業赤字に陥った。構造改革や原価低減を進めたものの、コロナ禍による世界的な自動車市場の減速が、同社の自動車機器事業に追い打ちをかける格好となった。

 コロナ禍に起因する世界規模での新車需要の蒸発は、自動車メーカーの生産調整につながり、部品サプライヤーにも波及する。中小サプライヤーに限らず、大手サプライヤーにも影響が及びつつある。