ホンダが調達方針を見直そうとしている。昨年発売した「N―WGN(エヌワゴン)」では電動パーキングブレーキ(EPB)に不具合が発覚し、ホンダと関連企業の業績に大きな影響を与えた。さらに、品質問題の対策を進めていたところにコロナ禍が直撃し、部品の調達難で生産活動が停滞。部品調達にかかわるアクシデントが続く。自動運転や電動化など技術が進化すればサプライヤーの管理は一段と難しくなる。品質や供給の安定性をいかに担保するか。調達ネットワークの見直しを急ぐ。

 「N―WGNの問題でコストよりも品質や安定供給が重要であると痛感した。必要であればコストをかけて正しくサプライチェーンが回るような方向に変える」。12日の決算会見で八郷隆弘社長はこう述べ、サプライチェーンの最適化を進める考えを示した。

 N-WGNでは、発売直後に蘭シャシー・ブレーキ・インターナショナル(CBI)製のEPBに不具合が発覚。サプライヤーを独コンチネンタルに変更し、生産を再開した後は順調に販売台数を積み上げているが、19年度のホンダや関連企業の業績に大きな影響を与えた。

 一方、直近ではコロナ禍による部品の調達難で生産活動が停滞した。ホンダは輸出比率が低いことに加え、新型車の受注が好調で他社よりも減産幅が少ない。それでも部品の供給が滞り、鈴鹿製作所の一部ラインと埼玉製作所寄居・狭山工場の生産を一時的に停止した。

 不測の事態であるコロナ禍はともかく、N-WGNの品質問題は八郷社長も認めるように「コスト要求の強さに起因する」とホンダと取引するサプライヤー首脳は指摘する。ホンダは旧型「フィット」で海外製サプライヤーと共同開発した部品に起因する複数回のリコールが発生した後、海外サプライヤーとの取引を拡大する従前の方針を見直した。ただ、コスト競争力に分があるメガサプライヤーの優位性は高く、現在も先進装備系を中心に海外サプライヤー製の採用部品は少なくない。

 このためホンダでは部品調達に関する問題の再発防止のため、社内外で改革を進める。昨年10月には系列の3社と日立オートモティブシステムズの統合を発表。意思疎通がしやすい身近なメガサプライヤーを育成し、コストや技術の競争力と品質確保の両立につなげる。

 同時に4月1日付でホンダ内部の組織構成にもメスを入れた。本田技術研究所の商品開発機能を本社に移し、八郷社長が重視してきた「SEDB(営業、生産、開発、調達)」の連携を深めることにより、開発効率を高めるとともに品質問題の再発防止にもつなげる。ホンダ幹部の一人は「聖域へのメスは社内の反発も大きかったが、二度と品質問題を起こさないためにも必要だった」と話す。

 年内には日本メーカー初となる自動運転レベル3の商品投入を予定するホンダ。「正直、サプライヤーの部品一つひとつを細かく把握するのは無理だ。自動運転や電動化が進めばなおさらだ」(主査級のエンジニア)と、品質管理の難しさは今後一層と高まる。調達方針を見直し、品質を含めた商品力の向上を図る。