トラックやバスなど大型車の次世代技術を巡り、国や系列をまたいだ自動車メーカーの協業が加速している。電動化では、日野自動車がグループのトヨタ自動車をはじめトレイトンや中国の比亜迪(BYD)と多方面に協力し開発を進める。いすゞ自動車はボルボ・グループと先進技術領域で提携する一方、乗用車メーカーのホンダと燃料電池(FC)トラックの共同研究を行う。FCトラックでは欧州大手のダイムラーとボルボが手を組む。大型車では深刻化するドライバー不足や環境問題で電動化や自動化への対応が急務だ。各社は研究開発に必要な多大なコストをスケールメリットでカバーし生き残りを図る。

 電動車開発で攻めの姿勢を見せるのが日野だ。同車は大型、小型トラックでハイブリッド車(HV)を実用化しており、国内の小口配送に適した専用プラットフォームの小型電気自動車(EV)トラックを自社開発を進めている。さらに、2018年9月に協業を合意したフォルクスワーゲングループの商用車部門であるトレイトンとは、新たに電動車のプラットフォームやコンポーネントを一括企画して共有化することを決めた。

 親会社のトヨタとは、20年3月に大型トラックの次世代パワートレインとしてFC車の共同開発を決めた。両社はFC路線バスをすでに発売済み。FCの強みを生かし、積載性と航続距離を稼げる大型トラックの実現を目指す。さらに日野は4月、中国EV大手のBYDと商用EV開発などで協業パートナーシップ契約を締結した。BYDとは個別のEV車種開発に着手し、より早い時期の商品化を目指す。

 自社開発に加えて多方面で電動車戦略を推し進める狙いとして、下義生社長は「商用車と一口でいってもトラック、バス、長距離、建設、市内配送とさまざまだ。用途に応じた電動化の技術を追求していかないといけない」と述べる。商品が多岐にわたるだけに、それぞれにパートナーを選んでいる格好だ。

 いすゞはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域全般でボルボと協業する。ボルボは電動トラックの販売や自動運転レベル4の実証実験など商用車の先進技術で先行するメーカーの1社だ。いすゞはボルボ子会社のUDトラックスを年内めどに傘下に収め、車種の共有化などでシナジーを生み出す考え。FCトラックについては、乗用車で商品化を実現したホンダと共同研究することを1月に決めた。FCシステムを商用車や鉄道、船舶まで広げたいホンダと、大型トラックの電動化をFCで実現したいいすゞの思惑が合致した格好だ。

 独ダイムラートラックは、FCトラックの量産化に向けて年央にボルボと折半出資で合弁会社を設立する。20年代後半までに大型FCトラックを量産する。ダイムラー子会社の三菱ふそうトラック・バスとも連携し、FCトラックを日本にも導入する計画だ。

 大型車のCASE対応は、ドライバー不足解消や物流課題解決につながり社会的ニーズは高い。一方、国内の普通トラック市場は年間約9万台程度で、その中で大型車メーカー4社がしのぎを削っている。次世代技術開発に要する費用は右肩上がりに増えており、台数規模が少ない商用車で次世代車の商品化を実現するためには合従連衡が避けられなくなっている。