仏フォルシア傘下のフォルシアクラリオンエレクトロニクス(FCE)は、統合した3社の強みを生かして、開発領域の合理化を進める。ディヴィジョン制の導入によって、顧客への提案方法を最適化し、顧客が求めるコストや用途などに柔軟に対応できる体制を整える。クラリオンとしては、新たに大型ディスプレーの提案を始めるなど、車載インフォテインメントでの競争力強化を図る。

(赤石 達真)

 ―統合2年目にして、最も大きなシナジーは

 「3社それぞれの特徴や強みを生かして、顧客が求めるレベル感に合わせた提案が可能になった。パロットは先端技術の開発に強みを持ち、クラリオンは量産技術の開発に長けている。コエージェントは中国のOEMと長年の取引があり、ローコストの汎用品開発が強みだ」

 ―開発拠点の統合は

 「開発に関しては、各社が使っている開発ツールが違うため、急に統合するのは難しい。今後、開発ツールの統合が進むと思うが、現段階では、重複している開発領域を整理していきたい。例えば、シート内にスピーカーを内蔵して、乗員ごとに別の音楽を流すといった技術はフォルシアもクラリオンも開発を進めていた。並行して進めるより1社が担った方が経営リソースを集中できる。今後、交渉しながら整理を進める」

 ―新しく導入したディヴィジョン制の効果は

 「日本中心から各地域に権限を持たせるディヴィジョン制を敷くことで、地域に根付いた戦略展開が可能になる。例えば、欧州で依頼を受ければ、欧州の担当者が最後まで受け持った方がスムーズに対応できるなど、ディヴィジョン制のメリットは大きい」

 ―顧客への提案手法で変えた点は

 「製品群別にディレクターを配置して、顧客からのRFQ(見積依頼書)が来る前から提案できるようにする体制を築いた。デモカーやデモシートなどを造るときは、技術チームが開発のロードマップを製作して、営業は顧客へのアクティビティープランを一緒になって作るといった体制をグループ全体で導入した」

 ―日本、アジアを担当するクラリオンとして、新しい動きは

 「クラリオンとしては、大型ディスプレー事業を新しく始めた。中国のEVメーカーにはすでに採用が決まって、サンプルを出荷している。通信、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、ディスプレーについては、長年にわたりノウハウを蓄積してきた。車内のディスプレーだけでなく、ミラーレスカーの電子ミラーや湾曲形状タイプも視野に入れている」

 ―自動運転やADAS事業での強みは

 「クラリオンの強みは、センサーから得られた情報を処理するECU(電子制御ユニット)にある。ただ、私有地での自動バレーパーキングが可能となる『ロング レンジ サモン』は採用に関してはまだ課題もある。法的な問題に加え、ニーズがどれほどあるかを精査しないといけない」

 ―今後の計画は

 「自動運転車と一般車が混在する状況で事故が起こった場合はどうするか。自動運転関連技術について、現段階では大学構内やテーマパークなど限定エリアでのシャトルバスなどに応用できるが、そういう施設は限られている。自動駐車にはインフラからの情報も必要になるため、段階的に開発を進めていく」

 〈プロフィル〉むらかみ・ひろし 1984年クラリオン入社、2010年同社海外営業本部海外アフターマーケット営業部部長、18年同社理事兼社長室本部長、19年4月同社ジャパンディヴィジョン準備室本部長に就任。19年10月から同社ジャパンディヴィジョンバイスプレジデント(現任)。58歳。