機械・金属産業の中小メーカーで構成するJAM(ものづくり産業労働組合、安河内賢弘会長)は11日、2020年春季生活闘争(春闘)の10日までの交渉状況を公表した=写真。ベースアップ(ベア)は、組合員数が300人未満は月1752円、100人未満が同2千円で大手企業を上回る結果となった。全体は同1624円だった。安河内会長は「人手不足の危機を労使一丸で乗り越えようとする意志がある」と話した。

 JAMは今年の労使交渉を新型コロナウイルスの感染拡大への緊急対応を強いられる中、「粘り強い交渉で一致点を見出せている」(安河内会長)と評価した。近年は、最初の回答水準を最後まで保っており、今年も「1600円強の水準を最後まで維持できるように支援する」(同)と話した。

 一方で、新型コロナによる労使交渉への影響を懸念する。過去の危機的状況の中で中小メーカー労組がベアを引き出しても「国難に乗じた取引先から値下げ要求が強まり、賃上げが抑制されたこともあった」(安河内会長)ためだ。リーマンショックの時は大幅に価格交渉力が下がり、中小企業の生産性も落ちた。新型ウイルスの影響はまだ不透明だが、「絶対にそうしたことがないように目を光らせる」(同)と強調した。