アルファバスの「e―City L10」

 中国の電気バス(EVバス)メーカーが日本市場で攻勢をかけている。先行するBYDに続いて、中堅のEVバスメーカーであるアルファバスも本格参入する。日本車メーカーに先んじて、日本のバス事業者や自治体のニーズに合わせた商品を開発し、日本のバス市場でゲームチェンジを仕かける。

 「補助金がなくても12年使用すれば元を取れる」―。アルファバスが昨年12月に設立した日本法人の伊東信輔社長は、顧客との商談でEVバス導入による経費削減効果を訴えかける。

 日本で走っているEVバスは、ディーゼル車を改造した車両が多い。価格は1億円ほどにもなり、バス事業者や自治体にとっては環境意識の高さをアピールする広告塔の役割が大きかった。

 これに対し、アルファバスが日本向けに開発した10・5㍍クラスの路線バス「e―City L10」の価格は3980万円(消費税別)。これを購入し、年間平均走行距離5万4千㌔㍍で20年使用した場合、電池の交換代や充電設備のコストを入れても一般的なディーゼル車と比べてライフサイクル全体で1700万円のコストメリットがあるというのが同社の試算だ。伊東社長は「広告塔ではなく実用性でEVバスを選ぶ時代に入った」と自信ありげに語る。

 品質にもこだわった。電池には日産「リーフe+」に使用されるエンビジョンAESC製のセル、モジュールを採用し、安全性を確保。ZF製独立懸架式アクスルなど大手サプライヤーの部品も使用する。航続距離は240㌔㍍で、夜間に充電を行えば終日運行することが可能だ。中国で販売する車体をベースにバリアフリー法に対応するとともにワンマン機器を搭載する日本専用車に仕上げており、顧客は特別な設備変更なしに導入できるという。22年までに200台の販売を目指す。

 EVバスを巡っては、最大手のBYDが12㍍クラスの大型バスに続いて近く日本仕様の小型バス「J6」の納車を開始する。高齢化が進む地域のコミュニティバスなどの需要を見込んでおり、24年までに累計1千台を販売する計画だ

 バス事業者や自治体の環境意識は高まりつつあるが、そもそも国内バス市場の規模は小さく、日本の商用車メーカーは現時点で採算を見込みにくいEVバスを量産していない。一方、中国メーカーには、EVバスの普及が進む中国で生産する量産効果を生かせる強みがある。両社は日本車メーカーをよそに日本市場にマッチした価格競争力の高い車両を投入し、先行者利益を獲得する考えだ。(水鳥 友哉)